T18-8 小さな庭園


泡それ自体が泡にとどまるかぎり、見かけ上は分離しています。にもかかわらず、泡が水以外の何でありうるでしょうか?そして、泡が弾けたとき、それはどこに行くのでしょうか?それは海に帰るのです。



Ramesh S Balsekar
ラメッシ・S.バルセカール

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We ourselves feel that what we are doing is just a drop in the ocean.
私たち自身、自分たちがしていることは大海の中の一滴にすぎないと感じます。

But if that drop was not there, I think the ocean would be less by that missing drop.
しかし、もしその一滴が海の中からなくなったとしたら、その失われた一滴のゆえに海は少なくなってしまうと私は思うのです。

We don’t have to think in numbers.
私たちは、数の大きさの観点で考える必要はありません。

We can only love one person at a time — serve one person at a time.
私たちにできるのは、一度にひとりの人を愛することだけです。一度にお世話できるのもひとりの人だけなのです。



Mother Teresa
マザー・テレサ

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Sometimes when I consider what tremendous consequences come from little things. I am tempted to think there are no little things.
ときに、ささやかなことから途轍もなく偉大なことが生み出されるのを目にするとき、私はこう考えてしまう。小さなことなど、ひとつもないのだと。

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Bruce Fairchild Barton
ブルース・バートン



砂漠はあくまでも砂漠である。あなたはその中で自分のしたいどんなことでもできるが、それをそれ以外のものに変えることはできない。そこには水がない。だからこそ、それは砂漠なのである。砂漠を前にしてなすべきことは、そこを立ち去ることである。

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イエス・キリスト(「天国から離れて」281ページ)

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海と波

今、ここに波と海があります。
もし波に心(意識)があるとしたらどうでしょう。
小さな波にとって海は脅威です。海は波よりはるかに大きくて、波を飲み込んでしまうからです。

ある時、波はどこからどこまでが自分なのか知りたくなりました。そこで、波は自分と自分以外の海との境界を探すために、海の中を行けるところまでどんどん進んでいきました。
ところが、どこまで行っても波は海との境界を見つけ出すことができません。波は悟りました。自分はちっぽけな波だと思っていたけれど、実は海だったのだと。

それから波は、波として海を見るのではなく、海として海を見るようになりました。
すると、自分が波だと思っていたころ、海を見るたびに感じていた恐れや不安が嘘のようになくなりました。波は海として海を眺めるようになってから、安心と平和、平安を手に入れたのです。

人は波であり、世界は人にとって海のようなものです。人が自分を波のようなものであると思っているかぎり、世界という海を恐ろしく感じます。

ループをすると、波が自分は海だったと気づいたように、人は、自分は自分が体験する世界そのものだと、世界は自分自身だと気づくことができます。そして、突然襲ってくる理由のない不安、恐怖、心配から、僕たちを解放してくれるのです。

波が自分を波だと思っているうちは、波が持つ知恵と力しか使うことができません。波の力だけでは、いくら頑張ってもせいぜい波自身の形を変えることくらいしかできません。
ところが、自分が海でもあるということが分かると、波は海が持つ智恵と力を使うことができるようになります。ループをすると、波が海の智恵や力を使えるように、人は人間の限界や制限を超えて、世界を創造している智恵や力を使うことができるようになります。

これは人が自分の人生を、自ら創造することを意味します。あなたがあなたの人生を、自ら創造する時がついに来たのです。

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丸山修寛(「病気を癒し、人生を好転させる奇跡の魔法ループ」204-206ページ)




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今回はテキスト第十八章から「小さな庭園」という一節をご紹介します。


身体という柵

身体は、本来無限なものである愛に制限を課すために生み出された柵であり、エゴは、天国全体からただ柵で囲んで断片化しただけのこのごく小さな一区分を、神ですら入りこめない自分の王国だと宣言して過酷な暴政を敷きます。

エゴは、私たちに、このちっぽけな断片を守るために全宇宙と対峙して格闘するよう命じます。

本当は、宇宙の一部であるのに、宇宙から切り離されて対抗しなければならないと信じることによって、私たちは恐怖を味わうことを余儀なくされます。

というのも、宇宙は私たちという一部を包み込んで、ただあり続けているだけですが、私たちのほうは、宇宙に敵対され、必死に対抗しなければ、宇宙に一掃されてしまうとひとり決めしているからです。

この節では、この関係性を太陽と日差し、大海原と海面のさざなみにたとえます。

日差しは太陽の一部であり、さざなみも大海原の一部であって、一部と全体は、分離しているわけでも敵対しているわけでもないし、日差しもさざなみも当然ながら太陽や海がなければ存在できません。






必要なのは籠城ではなく開城

私たちがなすべきなのは、エゴの言う通りに宇宙に敵対して戦うことではありません。

必要なのは、本来無限である宇宙の中のごく微小な一点を自分の領地だと言い張って城壁を築き上げて枯れ果てた不毛の地を占領することに血道を上げるのではなく、城門を開いて無限の愛に自由に入ってきてもらうことです。

開城することにより、生命によって死を追い払おうと城の外で待ち受けていた本来の主人である神の大いなる思いが小さな王国に入ってきて闇を光で照らし、城内を光と生命と愛と歓喜で満たしてくれます。

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そうなれば、かつて焦土であった城内は、豊かさに満ちた楽園となります。

以前には、城の外から奪い取って不毛の砂漠である城内に溜め込んだ限られた資源を奪われまいと、城外の誰をも寄せ付けず、中に運び込まれたものやうっかりと中に入り込んだものは、城内に蔓延る闇の者たちに一斉に襲われて身ぐるみ剥がれていましたが、いまや緑が生い茂り、外から城内に訪れる者たちを安らがせ、豊かに満たして帰す、尽きることのない豊さに満ちた国に似た歓待の園になります。


城門の扉を開く鍵

閉ざしていた門を開く鍵は、兄弟の愛には愛で応え、兄弟の攻撃には、その本質である愛を求める哀訴にふさわしい愛ある助けで応え、そうして、兄弟と愛で結ばれることによって、私たちを抱きしめようとずっと一緒にいてくれた聖霊を歓迎することです。



「10. Go out and find them, for they bring your Self with them.
 外に出て彼らを見つけ出しなさい。というのも、彼らは、あなたの真の自己を携えてきてくれるからです。

 And lead them gently to your quiet garden, and receive their blessing there.
 だから、彼らをあなたの静かな庭園へと優しく案内し、そこで彼らからの祝福を受け取ってください。

 So will it grow and stretch across the desert, leaving no lonely little kingdoms locked away from love, and leaving you inside.
 そうすれば、祝福された庭園は生い茂って不毛の地一面に広がってゆくので、愛に対して扉を閉ざして内部にあなたたちを置き去りにしたまま孤立する小さな王国はひとつも残らないでしょう。

 And you will recognize yourself, and see your little garden gently transformed into the Kingdom of Heaven, with all the love of its Creator shining upon it.
 すると、あなたは本当の自分に気づき、その大いなる創造主の愛のすべてに照らされて、自分の小さな庭園が穏やかに天の王国へと変容するさまを目にするでしょう。」


私たちも持っているアウリン

上の文章は、つぎのはてしない物語の場面を思い起こさせます。

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「名前のない少年は、首にかけた金の鎖にゆっくりと手をかけ、アウリンをはずした。そして腰をかがめ、宝のメダルをそうっとアトレーユの前の雪の上においた。少年はもう一度、たがいに相手の尾を咬んで楕円につながる明暗二匹の蛇を眺めた。それから、手を離した。
 その瞬間、アウリンの金の光がきらめきを発し、はかりしれない明るさとなって燦然と輝きわたった。太陽を仰ぎみるようなあまりのまばゆさに、少年は目を閉じた。ふたたび目を開いてみると、そこは広い広いドームだった。丸い天井は天の蒼穹かと思われるほど大きかった。それは金色の光からなる石でできた建物だった。はかりしれない広さをもつドームの中央に、巨大な蛇が二匹、城壁のように横たわっていた。」



Michael Ende
ミヒャエル・エンデ(「 はてしない物語 」より)





ファンタージエンの生き物であるアトレーユが持っていたときには、物語を進めるために正しく主人公を導いたアウリンですが、人の子が持ったときには違う働きをしました。

人の子であるバスチアンが望みを叶えるためにアウリンを自分だけのものにしようとしていたときには、アウリンは、その代償として、最後には廃人になる寸前までバスチアンの現実の記憶を奪ってゆきました。

バスチアンがアウリンを友アトレーユに渡そうと自分の首から外して地面に置いたとき、アウリンは、生命の水の湧き出る泉を陰陽二匹の巨大な蛇が内に守る広大なドームに様変わりします。

私たちの身体という小さな柵で囲った枠も、エゴと聖霊という陰と陽が拮抗し、エゴが支配する状態では、「汝の欲することをなせ」の汝は身体のみの願望となり、生命の泉は枯れ、現実である天国の記憶が代償として失われ、身体はどんどん砂漠化し最後には死が訪れることになります。

これに対して、自分以外の何者かになりたいという偽りの願望を捨て、聖霊に支配を委ね、ただ愛し愛されたいという意図で身体を兄弟に捧げるなら、「汝の欲することをなせ」の汝は神の子の神に等しい意図、つまり愛のみとなり、枯れていた生命の泉は再び湧き出し、不毛の地であったそこは、生命の漲る憩いの場となります。



ユミの細胞たち」のユミの心の世界が本節を理解する上で有益だと思います。









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テキスト第十八章

VIII. The Little Garden
八 小さな庭園



1. It is only the awareness of the body that makes love seem limited.
 身体が自分だと思うことだけが、愛を限られたものであるかのように思わせます。

 For the body is a limit on love.
 というのも、身体とは愛に課された制限だからです。

 The belief in limited love was its origin, and it was made to limit the unlimited.
 愛を制限できると信じることによって身体は生まれました。つまり、身体は無限なるものを制限するために作り出されたのです。

 Think not that this is merely allegorical, for it was made to limit you.
 このことを、単なるたとえ話だと思わないでください。というのは、身体はまさにあなたを制限するために作り出されたものだからです。

 Can you who see yourself within a body know yourself as an idea?
 身体の内部を自分自身だとみなしているあなたに、自分自身が想念だと知ることができるでしょうか。

 Everything you recognize you identify with externals, something outside itself.
 あなたは自分の認識するあらゆるものについて、それ自体の外側のもの、つまり、外観で見分けています。

 You cannot even think of God without a body, or in some form you think you recognize.
 あなたは神のことですら、身体のような、自分に見分けがつく何らかの形を抜きにしては想像もできません。



2. The body cannot know.
 身体には、知るということができません。

 And while you limit your awareness to its tiny senses, you will not see the grandeur that surrounds you.
 そして、あなたが自分の意識を身体のごくわずかな感覚に制限している間は、あなたは自分が壮大さに取り巻かれていることに気づかないでしょう。

 God cannot come into a body, nor can you join him there.
 神が身体の中に入りこむことは不可能だし、あなたは身体の中で神と結びつくことはできません。

 Limits on love will always seem to shut him out, and keep you apart from him.
 愛を制限しようとすると、つねに神を排除して自分が神から離れたままになるように思えてきます。

 The body is a tiny fence around a little part of a glorious and complete idea.
 身体は、栄光に満ちて完全な想念のごく小さな一部分だけを取り囲む小さな柵です。

 It draws a circle, infinitely small, around a very little segment of Heaven, splintered from the whole, proclaiming that within it is your kingdom, where God can enter not.
 身体は、全体から断片化した天国のごく小さな一区分の限りなく小さな領域を柵で囲んで線引きして、その柵の内側はあなたの王国であり、そこには神でも入りこめないことを示します。

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3. Within this kingdom the ego rules, and cruelly.
 この王国の内側は、エゴが支配しています。それは残酷な支配です。

 And to defend this little speck of dust it bids you fight against the universe.
 そして、エゴは、こんなちっぽけな一片の塵を守るために、宇宙を相手に戦うようにとあなたに命じます。

 This fragment of your mind is such a tiny part of it that, could you but appreciate the whole, you would see instantly that it is like the smallest sunbeam to the sun, or like the faintest ripple on the surface of the ocean.
 このあなたの心の破片は、宇宙の本当にごく小さな部分なので、ただあなたがその全体の真価を認めることさえできれば、あなたにも、その断片は、太陽にとっての最も小さな日差し、あるいは、大海原にとっての海面の最もかすかなさざ波のようなものでしかないと即座にわかるはずです。

 In its amazing arrogance, this tiny sunbeam has decided it is the sun; this almost imperceptible ripple hails itself as the ocean.
 しかし、その驚くべき傲慢さで、この小さな日差しは自分が太陽だとひとり決めし、このほとんど気づかないほど小さなさざ波は我こそは大海原だと高らかに宣言します。

 Think how alone and frightened is this little thought, this infinitesimal illusion, holding itself apart against the universe.
 宇宙から自らを孤立させて対抗しようとするこの限りなくちっぽけな幻想、この卑小な想念がどれほど孤独で怯えているか考えてもみてください。

 The sun becomes the sunbeam's "enemy" that would devour it, and the ocean terrifies the little ripple and wants to swallow it.
 太陽はそんな日差しをむさぼり食らおうとする「敵」となり、大海原はそんなちっぽけなさざ波を恐怖のどん底に突き落としてからひと飲みにしてしまおうとしていることになります。



4. Yet neither sun nor ocean is even aware of all this strange and meaningless activity.
 しかし、太陽も大海原も、日差しやさざ波の奇妙で無意味な活動など、まったく気に留めてすらいません。

 They merely continue, unaware that they are feared and hated by a tiny segment of themselves.
 どちらも自らの内なる小さな一区分から恐れられたり憎まれたりしているなど関知しないまま、ただ存在し続けるだけです。

 Even that segment is not lost to them, for it could not survive apart from them.
 日差しやさざ波といった一区分のほうも、太陽や大海原に属さなくなったわけではありません。というのは、それらの一区分が太陽や大海原から離れて存続できるわけがないからです。

 And what it thinks it is in no way changes its total dependence on them for its being.
 そして、それらの一区分が自らを何者だと思いこもうとも、それらが存在するために、日差しやさざ波が全面的に太陽や大海原に依存している事実は少しも変わりません。

 Its whole existence still remains in them.
 日差しやさざ波の存在は、依然として、太陽や大海原の内に留まっているからです。

 Without the sun the sunbeam would be gone; the ripple without the ocean is inconceivable.
 太陽がなければ日差しはなくなるだろうし、大海原なしにはさざ波など想像もできません。

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5. Such is the strange position in which those in a world inhabited by bodies seem to be.
 このような断片と全体の関係性こそ、多数の身体が暮らす世界の中にいる者たちが置かれているように見える奇妙な関係性です。

 Each body seems to house a separate mind, a disconnected thought, living alone and in no way joined to the Thought by which it was created.
 それぞれの身体は、分離した心を収容しているように見えます。その個別の心は、孤立して生きていて、それを創造した大いなる思いとはどう見ても結びついていないつながりを断たれた一個の想念であるかのように思えます。

 Each tiny fragment seems to be self-contained, needing another for some things, but by no means totally dependent on its one Creator for everything; needing the whole to give it any meaning, for by itself it does mean nothing.
 一つひとつの小さな断片は、それなりに自己充足しており、いくらかの物事については、ほかの断片に頼ることはあっても、決して、あらゆる事柄について自らの唯一の創造主に全面的に依存しているようには見えません。しかし、その断片は、断片それ自体では何の意味もなさないので、全体から何らかの意味を与えてもらうことを実は必要としているのです。

 Nor has it any life apart and by itself.
 そもそも、その断片は、全体から切り離されたそれ自体としての生命を何も持ってはいません。



6. Like to the sun and ocean your Self continues, unmindful that this tiny part regards itself as you.
 この太陽や大海原と同じように、あなたの大いなる自己も、その小さな一部分がそれ自体のことをあなたであるとみなしていることなど気にも留めずに存続しています。

 It is not missing; it could not exist if it were separate, nor would the Whole be whole without it.
 自分があなただと思いこんでいるその小さな部分は全体から欠落して行方不明になっているわけではありません。もしその部分が分離していたなら、それは存在できないばかりか、それなしでは、全体は全体ではなくなってしまいます。

 It is not a separate kingdom, ruled by an idea of separation from the rest.
 自分があなただと思いこんでいるその小さな部分は、残りの部分から分離しているという想念によって支配されている分離した王国ではないのです。

 Nor does a fence surround it, preventing it from joining with the rest, and keeping it apart from its Creator.
 また、その小さな部分は柵で囲まれているわけではないので、その小さな部分が残りのものとひとつに結びつくことを妨げるものは何もないし、その小さな部分はその大いなる創造主から引き離されたままにされているわけでもありません。

 This little aspect is no different from the whole, being continuous with it and at one with it.
 この小さな側面は全体とつながっていて全体とひとつなので、全体と何の違いもありません。

 It leads no separate life, because its life is the oneness in which its being was created.
 小さな側面は、別々の生命を生きているわけではありません。なぜなら、その小さな側面の生命は、その中で、その側面の存在が創造された一なる存在そのものだからです。

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7. Do not accept this little, fenced-off aspect as yourself.
 この小さな柵に囲まれた側面を自分自身だと承認してはなりません。

 The sun and ocean are as nothing beside what you are.
 太陽や大海原でさえ、本当のあなたに比べれば無に等しいといえます。

 The sunbeam sparkles only in the sunlight, and the ripple dances as it rests upon the ocean.
 日差しはただ太陽の光の中でのみ煌めき、さざ波は大海原の水面にあってこそ飛び跳ねることができます。

 Yet in neither sun nor ocean is the power that rests in you.
 しかし、太陽と大海原にさえ、あなたの中に眠る力ほど偉大な力はありません。

 Would you remain within your tiny kingdom, a sorry king, a bitter ruler of all that he surveys, who looks on nothing yet who would still die to defend it?
 あなたは、自分のちっぽけな王国の中に、自分の見渡すものすべての冷酷な支配者として君臨する哀れな王として留まりたいのでしょうか。その哀れな王は、自分が目にしているものが無でしかないというのに、なお死を賭してまで無を守ろうとしているのです。

 This little self is not your kingdom.
 こんなちっぽけな自己が、あなたの王国であるはずがありません。

 Arched high above it and surrounding it with love is the glorious whole, which offers all its happiness and deep content to every part.
 その卑小な自己の上に高く弧を描いて愛で小さな自己を包みこんでくれているものこそ、栄光に満ちた全体です。この全体があらゆる部分にすべての幸せと深い満足感を差し延べてくれているのです。

 The little aspect that you think you set apart is no exception.
 あなたが自分で切り離したつもりでいる小さな側面も、その例外ではありません。



8. Love knows no bodies, and reaches to everything created like itself.
 愛は、身体のことなど一切関知せず、自らと同じものとして創造されたすべてのものへと到達します。

 Its total lack of limit is its meaning.
 愛にはまったく限界がないことこそが、愛の意味だからです。

 It is completely impartial in its giving, encompassing only to preserve and keep complete what it would give.
 愛は与えることにおいて完璧に公平であり、愛自ら与えようとするものを完全なままに保護して維持するためにのみ、その周囲を包みこみます。

 In your tiny kingdom you have so little!
 自分の小さな王国の中では、あなたはほとんど何も持っていません。

 Should it not, then, be there that you would call on love to enter?
 そうだとすれば、あなたは愛に、自分の小さな王国に入ってきてほしいと頼むべきではないでしょうか。

 Look at the desert--dry and unproductive, scorched and joyless--that makes up your little kingdom.
 その不毛の地をよく見てください。干からびて何も生み出すことのない、枯れ果てた喜びのない砂漠です。あなたの小さな王国はこんなもので形成されているのです。

 And realize the life and joy that love would bring to it from where it comes, and where it would return with you.
 それゆえ、愛は、自らがやってきた故郷から生命と歓喜をあなたの小さな王国にもたらそうとしてくれているのであり、あなたを一緒に故郷に連れ帰ろうとしてくれているのだと理解してください。

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9. The Thought of God surrounds your little kingdom, waiting at the barrier you built to come inside and shine upon the barren ground.
 神の大いなる思いが、あなたの小さな王国を包囲して、王国の中に入って不毛の地を光で照らそうと、あなたが築いた障壁を前にして待ち構えています。

 See how life springs up everywhere!
 至るところから生命が萌え立つさまを見るがよいでしょう。

 The desert becomes a garden, green and deep and quiet, offering rest to those who lost their way and wander in the dust.
 不毛の砂漠は緑が生い茂る深く静かな庭園となり、自分の道を見失って砂埃の中をさまよう人びとに休息を提供するようになります。

 Give them a place of refuge, prepared by love for them where once a desert was.
 かつては不毛の地であった場所に愛が彼らのために用意してくれたオアシスを道を見失ってさまよう人々に差し延べなさい。

 And everyone you welcome will bring love with him from Heaven for you.
 そうすれば、あなたが歓迎する人たちの一人ひとりが、あなたのために天国からの愛を携えて運んできてくれるでしょう。

 They enter one by one into this holy place, but they will not depart as they had come, alone.
 彼らは、この聖地にひとりずつ入ってきます。しかし、彼らがそこを出発するときには、彼らはそこにやってきたときのように孤独ではありません。

 The love they brought with them will stay with them, as it will stay with you.
 彼らが連れてきた愛は、あなたの許に留まるように、彼らの許にも留まるでしょう。

 And under its beneficence your little garden will expand, and reach out to everyone who thirsts for living water, but has grown too weary to go on alone.
 そして、愛の恵みの下に、あなたの小さな庭園は広がって、生命の水を渇望しながらも、ひとりきりで進むには疲れ果ててしまっている者たちみんなに到達するまで拡張してゆくでしょう。



10. Go out and find them, for they bring your Self with them.
 外に出て彼らを見つけ出しなさい。というのも、彼らは、あなたの真の自己を携えてきてくれるからです。

 And lead them gently to your quiet garden, and receive their blessing there.
 だから、彼らをあなたの静かな庭園へと優しく案内し、そこで彼らからの祝福を受け取ってください。

 So will it grow and stretch across the desert, leaving no lonely little kingdoms locked away from love, and leaving you inside.
 そうすれば、祝福された庭園は生い茂って不毛の地一面に広がってゆくので、愛に対して扉を閉ざして内部にあなたたちを置き去りにしたまま孤立する小さな王国はひとつも残らないでしょう。

 And you will recognize yourself, and see your little garden gently transformed into the Kingdom of Heaven, with all the love of its Creator shining upon it.
 すると、あなたは本当の自分に気づき、その大いなる創造主の愛のすべてに照らされて、自分の小さな庭園が穏やかに天の王国へと変容するさまを目にするでしょう。

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11. The holy instant is your invitation to love to enter into your bleak and joyless kingdom, and to transform it into a garden of peace and welcome.
 神聖な瞬間は、あなたから愛に対して、自分の荒涼とした喜びのない王国の中へと入ってきて、そこを平安と歓待の園へと変えてくれるようにと招待することです。

 Love's answer is inevitable.
 愛は必ず答えてくれます。

 It will come because you came without the body, and interposed no barriers to interfere with its glad coming.
 あなたが身体を伴わずに来て、愛の喜ばしい到来を妨げるどんな障害も差し挟まなかったのだから、きっと愛は来てくれるはずです。

 In the holy instant, you ask of love only what it offers everyone, neither less nor more.
 神聖な瞬間において、あなたが愛から求めるのは、愛がみんなに差し延べるものだけであり、それ以下でもそれ以上でもありません。

 Asking for everything, you will receive it.
 すべてを求めるがゆえに、あなたはすべてを受け取るでしょう。

 And your shining Self will lift the tiny aspect that you tried to hide from Heaven straight to Heaven.
 そして、あなたの光り輝く大いなる自己は、あなたが天国から隠しておこうとしていた小さな側面を天国へと一直線に引き上げてくれるでしょう。

 No part of love calls on the whole in vain.
 愛に属する一部がその全体に呼びかけて、応えられないままに終わることはありません。

 No Son of God remains outside his Fatherhood.
 神の子は、ひとりたりとも自らの父なる神の大いなる愛から落ちこぼれることはありません。



12. Be sure of this; love has entered your special relationship, and entered fully at your weak request.
 次のことを確信しなさい。すなわち、愛はすでにあなたの特別な関係に入ってくれているのであり、それも、あなたの弱々しい要請にもかかわらず、完全に入ってくれているということです。

 You do not recognize that love has come, because you have not yet let go of all the barriers you hold against your brother.
 あなたは愛がすでに訪れていることに気づいていません。なぜなら、あなたはまだ自分が兄弟に対して築いた障壁をすべて崩しきってはいないからです。

 And you will not be able to give love welcome separately.
 それに、あなたたちには、自分の兄弟と別々に愛を歓迎することはできないからです。

 You could no more know God alone than he knows you without your brother.
 神があなたの兄弟なしにあなたを知ることがないのと同様に、あなたは、自分ひとりだけで神を知ることはできません。

 But together you could no more be unaware of love than love could know you not, or fail to recognize itself in you.
 しかし、兄弟と一緒なら、愛があなたを知らずにいることも、愛があなたの中に愛そのものを認め損ねることもありえないのと同様に、あなたは愛に気づかずにはいられません。

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13. You have reached the end of an ancient journey, not realizing yet that it is over.
 あなたは、すでに太古の昔からの旅路の終点に辿り着いているというのに、その旅が終わっていることにまだ気づいていません。

 You are still worn and tired, and the desert's dust still seems to cloud your eyes and keep you sightless.
 あなたはいまだに疲れ果ててぐったりとして、砂漠の砂埃は今なおあなたの目を曇らせて、あなたを盲目のままにしているように思えます。

 Yet he whom you welcomed has come to you, and would welcome you.
 しかし、あなたがようやく迎え入れた大いなる存在はすでにあなたの許に訪れ、あなたを喜んで受け入れようとしてくれています。

 He has waited long to give you this.
 聖霊は、自らあなたを歓迎するときをずっと待ち詫びていたのです。

 Receive it now of him, for he would have you know him.
 今こそ、聖霊からの歓迎を受け入れてください。というのも、聖霊はあなたに聖霊のことを知ってほしいと思っているからです。

 Only a little wall of dust still stands between you.
 依然としてあなたたちの間を遮っているのは、取るに足らない埃でできた壁だけです。

 Blow on it lightly and with happy laughter, and it will fall away.
 幸せに笑いながら、その壁に軽く息を吹きかければ、そんな壁はすぐに崩れ去ってしまうでしょう。

 And walk into the garden love has prepared for both of you.
 そして、愛があなたたちふたりのために用意してくれたその庭園の中へと足を踏み入れてください。


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