M4-2 神の教師の特性2(正直さ)
Honesty is the first chapter in the book of wisdom.
正直さは、英知の書の第一章である。

Thomas Jefferson
トマス・ジェファーソン
Being entirely honest with oneself is a good exercise.
ひたすら自らに正直でいることは、よい修練になる。

Sigmund Freud
ジークムント・フロイト
Man is least himself when he talks in his own person.
個としての素の自分として語るとき、人は本音を隠し最も本当の自分から遠ざかる。
Give him a mask, and he will tell you the truth.
しかし、彼に仮面を与えれば、彼はあなたに真実を語り出すだろう。

Oscar Fingal O'Flahertie Wills Wilde
オスカー・ワイルド

今回は、昨日に続いて、教師のためのマニュアル第4節から、神の教師の特性のひとつで、信頼に続くふたつめの「正直さ」をご紹介します。
正直であるために必要なこと
正直であることは、自分自身に嘘をつかず、他者に対しても誠実であることです。
正直であるためには、自分が何者か自覚し、自分の思いをありのままに認識できることが必要です。
エゴに従い、エゴと一体化することは、神の子としてのアイデンティティーを否認することなので、不正直であり、自己欺瞞です。
冒頭のオスカー・ワイルドの言葉のように匿名性の仮面を得たとたんに気兼ねなく思いをぶっちゃけられるというのが人情というものです。
これは、実名で語る場合には自分という個を守らなければというエゴの防衛本能が働き、忌憚のない意見を言えなくなることを意味します。
真の自己が神の子であるという自覚は、特定の個人が架空の人物で本当の自分ではないという自覚を帰結するので、匿名性の仮面を得るのに劣らず、自分という個を防衛しなければという意識が軽減、払拭されることになります。
エゴとして生きること自体、不正直なこと
エゴに従うかぎり、葛藤や争いは不可避であり、つねに試練に直面してしまうので、エゴの観点での成功すら、上手に抜け駆けができた場合にしか期待できないものとなります。
これに対して、聖霊に従うなら、本当の自分は神の子であると自覚することになるので、アバターとしての自分にも兄弟にも正直でいることしかできなくなります。
はたらく細胞的に考えてみると、体内世界を構成するすべての器官や細胞は自分自身なので、その中の一部だけに誠実で、残りには不誠実あることなど不可能です。
右足の小指が怪我をして痛みを訴えているのに、食べ物の消化活動で大忙しの胃にのみ感情移入して胃だけにアイデンティティーを持つなら、脳にある政府が辺境の右足の小指の支援を決定したというけど、こっちは重要な仕事を担ってるんだ、そんなことに血税を費やしてるなら、胃にもっとたくさん血液を送ってくれ、右足の小指の怪我なんか知ったことじゃないと主張し、それに押し切られた脳が右足の小指の知覚神経を麻痺させて放置したりしたら、破傷風等の感染症によって身体全体の生命が脅かされる事態を招きかねません。

腹芸
日本には、腹芸という言葉があります。
「1 芝居で、役者がせりふや動作に出さず、感情を内面的におさえてその人物の心理を表現する演技。
2 はかりごとを言葉や行為に出さず、腹の中で企むこと。また、直接言葉で指示するのではなく度胸や迫力で物事を処理すること。また、そういうやり方。『―のできる政治家』
3 あおむけに寝た人の腹の上で芸を演じて見せる軽業 (かるわざ) 。また、腹に顔などを書き、これを動かして見せる芸。」(goo辞書)
日本人は、社会生活を営む中で、腹芸をマスターせざるを得ず、なかには見事な腹芸の達人になる人も少なくありません。
機械の潤滑油のように、本音むき出しで衝突ばかりして自我が損傷するのを防止して円滑に人間関係を営むためのスキルとして腹芸が役立つことは否定できません。
けれど、内面の思考と外面の言動との解離を日常的に繰り返していると、自分の本音や心の声を見極めるのが難しくなるものです。
自己欺瞞に陥っていないか、自分に正直になることを忘れないようにしましょう。
自分の気分や感情に鋭敏であること
T4-4 そうである必要はないでは次のように、自分の気分や感情が教えてくれるサインを大切にするよう指摘されています。
「2. I have said that you cannot change your mind by changing your behavior, but I have also said, and many times, that you can change your mind.
私は以前に、あなたの行動を変えることであなたの心を変えることはできないと述べました。しかし、私はまた何度も、あなたには自分の心を変えることができるとも述べました。
When your mood tells you that you have chosen wrongly, and this is so whenever you are not joyous, then know this need not be.
あなたが喜びに満ち溢れていないときはいつでも、あなたが間違って選んでしまったことをあなたの気分が知らせてくれているのです。そんなときは、間違った選択をしたまま喜びを感じずにいる必要などないと知りなさい。」
8.「Do not settle for anything less than this, and refuse to accept anything but this as your goal.
自分の思考と行動のすべてに神の力を解放することに劣ることには、何事にも甘んじてはなりません。そして、これ以外のことを自分の目標として受け入れることを拒絶してください。
Watch your mind carefully for any beliefs that hinder its accomplishment, and step away from them.
この目標の達成を妨げるいかなる信念も見逃さないよう注意深く自分の心を見張り、そんな信念を見つけたら、そんな信念から離れるようにしなさい。
Judge how well you have done this by your own feelings, for this is the one right use of judgment.
あなたがこの監視をどれほどうまくできているかは、自分がどう感じているかによって判断してください。というのも、これこそが価値判断の唯一の正しい使用法だからです。」
教材となるお話の紹介
アイデンティティーに関して学ぶ教材としてつぎの2作品を紹介します。
マーク・トゥエイン著「王子と乞食」

角川文庫版はkindle unlimitedで無料で読めます。
「王になった男」


Honesty
正直さ
1. All other traits of God's teachers rest on trust.
神の教師たちが持つほかのすべての特性は、信頼に基づいています。
Once that has been achieved, the others cannot fail to follow.
いったん信頼という特質を獲得したなら、信頼に引き続いてほかの特性を身につけ損ねることはありえません。
Only the trusting can afford honesty, for only they can see its value.
ただ信頼している者だけが正直でいることができます。なぜなら、正直であることの価値がわかるのは、信頼している者だけだからです。
Honesty does not apply only to what you say.
正直さは、あなたの言うことにだけあてはまるわけではありません。
The term actually means consistency.
正直さという言葉が本当に意味するのは一貫性です。
There is nothing you say that contradicts what you think or do; no thought opposes any other thought; no act belies your word; and no word lacks agreement with another.
あなたの話すことと、あなたが考えたり行ったりすることが矛盾することは何もない。どんな思いもほかの思いと対立することがない。どのような行いも自分の言葉を裏切ることがない。そして、どのような言葉も、ほかの言葉と矛盾しない。
Such are the truly honest.
このように一貫していられる者が、真に正直な者です。
At no level are they in conflict with themselves.
真に正直な者たちは、いかなるレベルにおいても、自己矛盾することがありません。
Therefore it is impossible for them to be in conflict with anyone or anything.
それゆえ、真に正直な者たちにとって、誰かや何かと対立することは不可能です。
2. The peace of mind which the advanced teachers of God experience is largely due to their perfect honesty.
進歩した神の教師が経験する心の平安は、主に彼らの完全な正直さによるものです。
It is only the wish to deceive that makes for war.
争いを引き起こすのは、欺きたいという願望だけです。
No one at one with himself can even conceive of conflict.
自分自身とひとつになっている者は誰も、争いなど思いつくことすらできません。
Conflict is the inevitable result of self-deception, and self-deception is dishonesty.
葛藤は、自分を騙そうとすることの必然的な結果です。そして、自己欺瞞は不正直ということができます。
There is no challenge to a teacher of God.
神の教師にとって試練など何もありません。
Challenge implies doubt, and the trust on which God's teachers rest secure makes doubt impossible.
試練は、それを乗り越えられるか疑念があることを示していますが、神の教師たちは確固たる信頼に依拠しているので、疑念などありえないからです。
Therefore they can only succeed.
それゆえ、神の教師たちには成功することしかできません。
In this, as in all things, they are honest.
彼らは、すべてのことについてそうであるのと同じように、成功することに関しても誠実です。
They can only succeed, because they never do their will alone.
彼らはただ成功することしかできません。なぜなら、彼らは決して自分の意志だけをなすわけではないからです。
They choose for all mankind; for all the world and all things in it; for the unchanging and unchangeable beyond appearances; and for the Son of God and his Creator.
神の教師たちは、全人類のため、全世界とその中のすべての物事のため、見せかけを越えた不変にして変更不能なもののため、そして、神の子と彼の大いなる創造主のために選択します。
How could they not succeed?
そんな彼らがどうして成功せずにいられるでしょうか。
They choose in perfect honesty, sure of their choice as of themselves.
彼らは、自分自身を確信するように自分たちの選択を確信しているので、完全に正直に選択するのです。
