M4-3 神の教師の特性3(寛容)
The responsibility of tolerance lies with those who have the wider vision.
寛容であることは、より広い視野を持つ者が担う責務である。

George Eliot
ジョージ・エリオット
The Paradoxical Commandments
逆説の10箇条
[1] People are illogical, unreasonable, and self-centered.
Love them anyway.
人というのは不合理で、理不尽で、自己中心的なものです。
それでもなお、人を愛しなさい。
[2] If you do good, people will accuse you of selfish ulterior motives.
Do good anyway.
もしあなたが何か良いことをすれば、人は隠された利己的な動機があるはずだと言ってあなたを責めることでしょう。
それでもなお、良いことをしなさい。
[3] If you are successful, you will win false friends and true enemies.
Succeed anyway.
もしあなたが成功したら、あなたは偽りの友と真の敵を得てしまうでしょう。
それでもなお、成功しなさい。
[4] The good you do today will be forgotten tomorrow.
Do good anyway.
今日あなたがなした善行も、明日になれば忘れられてしまうでしょう。
それでもなお、良いことをしなさい。
[5] Honesty and frankness make you vulnerable.
Be honest and frank anyway.
正直で素直でいると、あなたは攻撃にさらされやすくなってしまうでしょう。
それでもなお、正直で素直でいなさい。
[6] The biggest men and women with the biggest ideas can be shot down by the smallest men and women with the smallest minds.
Think big anyway.
最も偉大な理想を抱く最も偉大な男女が最も狭い了見に囚われた最も浅ましい男女によって打ち倒されてしまうこともあるでしょう。
それでもなお、偉大な理想を抱きなさい。
[7] People favor underdogs but follow only top dogs.
Fight for a few underdogs anyway.
人は敗者の不遇に同情を寄せはしても、勝者の後にしかついていかないものです。
それでもなお、敗者のために戦いなさい。
[8] What you spend years building may be destroyed overnight.
Build anyway.
あなたが何年もかけて築いたものが一夜にして崩れ去るかもしれません。
それでもなお、築きあげなさい。
[9] People really need help but may attack you if you do help them.
Help people anyway.
本当に助けを必要としている人でも、実際にあなたが助けの手を差し延べると、あなたのことを攻撃するかもしれません。
それでもなお、人を助けなさい。
[10] Give the world the best you have and you'll get kicked in the teeth.
Give the world the best you have anyway.”
あなたが世界のために捧げられる最善を尽くしても、その見返りにひどい仕打ちを受けるかもしれません。
それでもなお、世界のために最善を尽くしなさい。

Kent M. Keith
ケント・M・キース

マニュアル第4節の続きです。
3つめの特性は「寛容」であることです。
裁きは正直さを失う自己欺瞞
本節は、裁くこと、つまり、物事の価値判断をすることは、2つ目の特性であった正直さをを失う自己欺瞞であるといいます。
裁きは、自他を分離して、自分なりの価値基準に従って、すべての物事を序列化して評価し、価値あるものと無価値なものを分離し、無価値と評価するものを排除することです。
神の子は、すべてであると同時にすべてを持っている存在なので、裁くことは、まさに自己否定であり、自己を本当の自分である状態から、極限まで切り詰めて縮小化し、自分の一部に対する否定的評価と排除、攻撃を行う深刻な自己欺瞞であり、本当に正直な状態からは程遠いものです。

人体内世界に置き換えてみると
はたらく細胞的に見ることにして、人体内の細胞や器官の価値を序列化して裁くとどうなるでしょうか。

一見すると、脳細胞や眼球の細胞は重要で高等な機能を営む「上級国民」(!)というべき高貴な細胞で、直腸や肛門は汚れ仕事をする下賤な細胞で、皮膚細胞は同じような細胞がいくらでもいる、さして重要ではない平凡な細胞というふうに序列化できるようにも思えます。
この価値判断によって人体の運営がなされたとしたら、早晩、その身体は病気になってしまうでしょう。
God is in the details
神は細部に宿る

Ludwig Mies van der Rohe
ミース・ファンデルローエ(建築家)
このミース・ファンデルローエの言葉の通り、きめ細やかな美肌の秘訣は、その美しい人の皮膚細胞たちが、大きな愛をこめて小さなことをなすマザー・テレサの精神で、誇りをもって自分の役割を懸命に果たしてくれていることにあります。
この点は、価値判断の重圧から解放されるには?が参考になると思います。
人間の間に価値序列や貴賎があるという発想は、エゴに心を汚染されて価値判断して裁くことによって起こっている錯覚、完全な自己欺瞞だということです。
冒頭のケント・M・キースさんの逆説の10箇条は有名なので、聞かれたことのある方も多いでしょうが、耳に心地よいだけのきれいごとの偽善の勧めのように響くかもしれません。
けれど、これはまったく偽善でも何でもありません。
ご自分の人体内世界に置き換えてイメージしてみてください。
疾患等によって全身が麻痺症状を起こしたり、不随意運動を起こしている状態からなんとか脱することのできた右手が、依然として病んだままの身体の他の部位の助けになろうとして、まだ麻痺を脱していない身体部位の手当てをしたり、不随意運動で自分に対する攻撃を繰り返す左手を押さえて治らせようと努めている場面を想像しながら上の逆説の10箇条を読んでみると感じ方が変わるはずです。
自己欺瞞から脱するには?
この自己欺瞞、不正直は、価値判断の裁きによって起こるわけなので、それを解消するには逆をいけばいいわけです。
つまり、裁きを放棄することによって、本来の状態に戻ることができます。
「Without judgment are all things equally acceptable, for who could judge otherwise?
裁かずにいれば、すべての物事は等しく受け容れられるものになります。なぜなら、裁かなければ、誰もすべての物事を等しく満足のいくものと判断することしかできないからです。
Without judgment are all men brothers, for who is there who stands apart?
裁かずにいれば、万人が兄弟となります。というのも、別々に分離している者などひとりもいないからです。」

Tolerance
寛容
1. God's teachers do not judge.
神の教師たちは、価値判断して裁くことはしません。
To judge is to be dishonest, for to judge is to assume a position you do not have.
裁くことは不正直になることです。というのも、裁くことは、自分が置かれてもいない立場に自分が就いていると仮定するものだからです。
Judgment without self-deception is impossible.
自己欺瞞なしには、裁くことは不可能です。
Judgment implies that you have been deceived in your brothers.
裁きは、あなたが自分の兄弟たちが誰なのか誤解していることを暗示しています。
How, then, could you not have been deceived in yourself?
そうだとすれば、あなたが自分が誰なのか誤解せずにいられたはずがありません。
Judgment implies a lack of trust, and trust remains the bedrock of the teacher of God's whole thought system.
裁きは信頼の欠如を示しています。そして、信頼は神の教師の思考システム全体の根底をなす基盤であり続けます。
Let this be lost, and all his learning goes.
信頼を失ってしまったら、彼のすべての学びは去ってしまいます。
Without judgment are all things equally acceptable, for who could judge otherwise?
裁かずにいれば、すべての物事は等しく受け容れられるものになります。なぜなら、裁かなければ、誰もすべての物事を等しく満足のいくものと判断することしかできないからです。
Without judgment are all men brothers, for who is there who stands apart?
裁かずにいれば、万人が兄弟となります。というのも、別々に分離している者などひとりもいないからです。
Judgment destroys honesty and shatters trust.
裁くことは、正直さを台無しにして、信頼を粉々に打ち砕いてしまいます。
No teacher of God can judge and hope to learn.
神の教師は誰ひとりとして、裁きを下しておきながら、学ぶことを期待することはできないのです。
