レッスン69「私の不平不満が私の中にある世界の光を隠してしまう」
人が人の世のためを本位として生きるとき、その心の中に卑しい不平不満の火は燃えない。

中村天風
It is very easy to become arrogant and impolite,.
傲慢でぶっきらぼうになるのはとても簡単なことです。
But we were born for a much greater thing.
しかし、私たちはもっと偉大なことのために生まれてきたのです。
We were born to love one another.
私たちは、お互いに愛し合うために生まれたのです。

Mother Teresa
マザー・テレサ
家庭の免疫システム
このようなシナジーは、かけがえのない家族文化の究極の姿である。創造的で楽しく、多様でユーモアにあふれ、家族一人ひとりの関心事や考え方を尊重する文化なのである。
シナジーは人の計り知れない能力を引き出し、新しいアイデアを生み出す。家族を新しい多面的な方法で結びつけ、信頼口座に大きな預け入れをする。一緒に新しい何かを創造することほど、人と人を結びつけるものはない。
さらに、家庭で問題が起きたとき、きちんと向き合って解決する文化を築くことにもなる。第4から第6までの習慣によって築かれる文化を身体の免疫システムに例えてみればわかると思う。このような家族文化は、家族がどんな問題にぶつかっても、それに立ち向かえる力となるのである。ミスをしても、あるいは肉体的、金銭的、社会的な思いもかけない問題が起きても、この免疫システムがあれば家族を守ることができる。そのような状況に打ち負かされず、克服できるのだ。人生においてどんな難局に置かれても、逃げずに対応し、最善の解決策を見い出し、そこから教訓を学ぶ。こうして家族の絆は強くなっていくのである。
このような免疫システムができていれば、「問題」の見え方も違ってくる。問題は、いわばワクチンのようなものになる。免疫システムを働かせて抗体をつくるのだ。抗体があれば、深刻な症状に進展する心配はない。夫婦の問題、一〇代の子どもとの問題、失業、兄弟喧嘩など、家庭生活で起こるどんな問題も、ワクチンのようなものだと考えることができる。予防接種の注射のように瞬間的には痛みを感じるだろうし、小さなあざができることもあるだろう。しかしそれは免疫反応を引き起こし、病気と闘う力をつけることなのである。
どんな困難にぶつかっても、免疫システムがその問題を取り囲んで退治してくれる。挫折、失望、精神的な疲労など、家庭の健康を脅かすあらゆる問題に対応し、それを成長の経験に変えてくれる。家族はさらに創造的になってシナジーを起こす力を高め、あらゆる難局も正面から見据えて解決できるようになる。だから、問題にぶつかっても悲嘆にくれることはない。効果性と免疫力の新たな次元に進む機会と考えればよいのだ。
家庭で起こる問題をワクチンととらえれば、家族の中で一番手のかかる子どもに対する見方も変わってくる。そのような子どもに対応することで、あなた自身も、家族文化も免疫が強くなるのだ。そもそも、家族文化を築く鍵は、あなたの人格が直接的に試される子どもとの接し方にある。何かとトラブルを起こす子どもに無条件の愛を注げば、ほかの子どもたちもあなたから無条件の愛を注がれていると確信できる。こうして信頼関係が築かれていく。手のかかる子を厄介だと思うのではなく、むしろ感謝できるようになってほしい。その子から投げかけられる問題こそが、あなた自身と家族文化を強いものにしていくのである。
家庭の免疫システムが理解できると、小さな問題は家庭という身体に予防接種の注射を打つようなものだと思えるようになる。それが免疫システムを活発にする。そして、その問題を中心に家族で適切なコミュニケーションをとり、シナジーを創り出せば、免疫システムはさらに強くなるから、その後また何か小さな問題が起きても、大きな問題に発展することはない。
AIDS(後天性免疫不全症候群)が恐ろしい病気である理由は、免役システムを破壊するからである。AIDSは直接の死因にはならない。免疫システムが弱っているから、ほかのさまざまな病気にかかって命を落とすのである。家庭も同じだ。何か一つの病気では死なない。しかし、免疫システムが弱っていたら、死ぬことになる。信頼口座が引き出し超過になったときに借入れの手立てがないから、それでおしまいになる。家庭の土台である原則や自然の法則を日々の家庭生活で実践できていなければ、免疫システムが働かず、家庭という身体は死んでしまうのである。
健全な免疫システムは、家庭生活にとって致死性の「四つの癌」から家族を守る。その四つとは、批判、不平不満、比較、競争である。これらの癌は、かけがえのない家族文化とは真逆のものであり、健全な免疫システムがなければ、家庭の中でどんどん転移していき、負のエネルギーが蔓延するのである。 家族文化を築く鍵は、あなたの人格が直接的に試される子どもとの接し方にある。

Stephen R. Covey
スティーブン・R.コヴィー(「7つの習慣ファミリー」454ページ)

レッスン69です。
不平不満の雲
今日のレッスンは、雲のたとえによって、不平不満が自分の中にある世界の光を隠してしまうことを示し、具体的なイメージを持たせてくれます。
レッスン61のテーマは「私は世界の光だ」でした。
レッスン62のテーマは「赦すことが、世界の光としての私の役目だ」でした。
私たちが不平不満を抱くことが私たちの中の世界の光を覆い隠して、私たちが赦しによって世界に光をもたらすという役目を果たせないようにしてしまいます。
不平不満を抱かないということは、自分の人生に起こることをすべて受け入れる、それも感謝して受け入れるということです。
私たちは、過去については、「もしあのときこうしていれば、・・・」と後悔し、今については「これは気に入らない」と不平を言い、将来については、「当然自分の期待通りになるべきで、そうでなきゃ満足できない」と考え、期待通りにいかないと、過去についてのスタンスの通り、「もしあのときこうしておけば」と思うことになります。
不平不満を抱くということは、暗黙の前提として、他者や世界や出来事の役目は自分に幸福を運んでくることだという観念が存在するということです(T29-4 夢での役割)。
こんな世界観を持っていたのでは、不満だらけで不幸になるのも当然です。

他者は自分に幸せを運ぶべき奉仕者という観点から、他者は自分が助けとなる機会を与えて一緒に救われることを可能にしてくれる救い主という観点へのシフト
これを逆転させると、自分は他者や世界を幸福にする役割を担っており、他者や世界や出来事は、自分が助けとなって役割を果たすチャンスを与えてくれているということになります。
他者からの攻撃は、攻撃の本質である他者の愛を求める呼び声に応えて自分と他者が一体であることに気づく機会、苦難は、ありのままの自分(アバターとしての)を見極めて自分の個性を通じて全体に奉仕する機会を得て、自分たちの本質がひとつの神の子であることを認識できるようになる恵みと受け取ることになり、すべてが感謝すべきことになり、幸福になります。

Viktor E. Frankl
ヴィクトール・フランクル
この観点の逆転は、ヴィクトール・フランクル先生が「夜と霧」で語る、「人生の意味のコペルニクス的転回」に似ています。
すなわち、私たちが人生から何を期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生のほうが人間に問いを発している。したがって、人間は人生の意味を求める必要はない。むしろ人間が人生から問われている側なのであり、人間のほうで自分の人生に意味があることを示して責任を果たして人生に答えなければならないのだ、と。
担う立場の転換
私たちが自分に幸福を運んでくる役割を他者に期待できるかは要点ではない、むしろ私たちは神から、他者や世界の助けとなる役割を担う機会を与えられており、この機会を逃さず役割を果たすことが求められているのだという観点です。
消費者、批評家、被害者から奉仕者、創造者、救済者への立ち位置の転換です。
この人生の意味のコペルニクス的転回が起こると、それまで順風満帆で問題やトラブルの起こらないノー・ストレスだった人の人生は、自分が役目を果たすチャンスに恵まれない不遇な人生で、それまで不満たらたらだった人の人生は、チャンスと恵みに満ちたありがたい人生だというふうに、捉え方が逆転することになるでしょう。
A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED
「ある無名兵士の詩」または「病者の祈り」、「叶えられた祈り」という呼称でよく紹介される作者不詳の言葉”A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED”を引用しておきます。
A CREED FOR THOSE WHO HAVE SUFFERED
苦悩する者のための信条
I asked God for strength, that I might achieve
私は、自分が何かを成し遂げられるようにと、神に力を求めたが、
I was made weak, that I might learn humbly to obey...
私は、謙虚に神に従うことを学ぶようにと、弱き者とされた
I asked for health, that I might do greater things
私は偉大なことをなしうるようにと、健康を求めたが、
I was given infirmity, that I might do better things...
私は、より良いことをなしうるようにと、病弱を授かった
I asked for riches, that I might be happy
私は、自分が幸福になれるようにと、富を求めたが、
I was given poverty, that I might be wise
私は、賢明になれるようにと、貧しさを授かった
I asked for power, that I might have the praise of men
私は、人々からの賞賛を得られるようにと、力を求めたが、
I was given weakness, that I might feel the need of God...
私は、神が必要だと感じられるようにと、弱さを授かった
I asked for all things, that I might enjoy life
私は、私が人生を謳歌できるようにと、すべてのものを求めたが、
I was given life, that I might enjoy all things...
私は、私が万物を喜ばせられるようにと、生命を賜った
I got nothing I asked for-but everything I had hoped for;
私が表向きに求めたものは何ひとつ得られなかったが、私が心の底で望んだものはすべて得られた
Almost despite myself, my unspoken prayers were answered.
まるで不本意とも言うべき形で、私の魂からの祈りは聞き入れられたのだ
I am, among all men, most richly blessed!
私は、どこの誰よりも、最も豊かに祝福されているのだ

Workbook Lesson 69
My grievances hide the light of the world in me.
私の不平不満が私の中にある世界の光を隠してしまう。
My grievances hide the light of the world in me.
私の不平不満が私の中にある世界の光を隠してしまう。
1 No one can look upon what your grievances conceal.
あなたの不平不満が隠してしまうものは、誰にも見ることができません。
Because your grievances are hiding the light of the world in you, everyone stands in darkness, and you beside him.
誰もが闇の中に佇み、あなたもその一員のままでいるのは、あなたの中にある世界の光をあなたの不平不満が隠しているせいです。
But as the veil of your grievances is lifted, you are released with him.
しかし、あなたの不平不満というヴェールが取り除かれれば、あなたはみんなと一緒に解放されます。
Share your salvation now with him who stood beside you when you were in hell.
今こそ、あなたの救済を、あなたが地獄にいたときに一緒にいた人たちと分かち合ってください。
He is your brother in the light of the world that saves you both.
あなたたちをともに救う世界の光の中では、彼はあなたの兄弟なのです
2. Today let us make another real attempt to reach the light in you.
今日は、私たちでもう一度、あなたの中の光に到達することを本気で試みてみましょう。
Before we undertake this in our more extended practice period, let us devote several minutes to thinking about what we are trying to do.
私たちがより長いほうの実習でこの試みに取りかかる前に、数分をかけて、自分たちが何をしようとしているのか考えてみましょう。
We are literally attempting to get in touch with the salvation of the world.
私たちは文字どおり、世界の救済に触れようと試みています。
We are trying to see past the veil of darkness that keeps it concealed.
私たちは、世界の救済を隠されたままに保ってきた闇のヴェールを越えてその向こう側を見ようと試みています。
We are trying to let the veil be lifted, and to see the tears of God's Son disappear in the sunlight.
私たちは、ヴェールを取り除いて、神の子の涙が日の光の中で消え去るのを見ようとしているのです。
3. Let us begin our longer practice period today with the full realization that this is so, and with real determination to reach what is dearer to us than all else.
今日の長いほうの実習は、これがその通りだという完全な理解と、そして、私たちにとってほかの何よりも大切なものに到達する真の決意とともに始めることにしましょう。
Salvation is our only need.
救済こそ、私たちが唯一必要とするものです。
There is no other purpose here, and no other function to fulfill.
この地上にはこれ以外の目的は何もないし、これ以外に果たすべき役目もありません。
Learning salvation is our only goal.
救済を学ぶことだけが、私たちの唯一の目標です。
Let us end the ancient search today by finding the light in us, and holding it up for everyone who searches with us to look upon and rejoice.
今日こそ、自分たちの中に光を見出して、その光を高く掲げて、私たちと一緒に探求する誰もがその光を目にして喜ぶことができるようにして、太古の昔からの探求に終止符を打ちましょう。
4. Very quietly now, with your eyes closed, try to let go of all the content that generally occupies your consciousness.
今、目を閉じて、とても静かに、あなたの意識を遍く占領しているすべてのものを去らせるように努めてください。
Think of your mind as a vast circle, surrounded by a layer of heavy, dark clouds.
自分の心を、ひとつの広大な円環であると考えて、その輪が重厚な暗雲の層に囲まれているさまを思い浮かべてください。
You can see only the clouds because you seem to be standing outside the circle and quite apart from it.
あなたはその輪の外側に立っていて、その輪から遠く離れているように思えるので、あなたには雲しか見えません。
5. From where you stand, you can see no reason to believe there is a brilliant light hidden by the clouds.
あなたの立っているところからは、あなたにはその雲の影に隠れて輝く光が存在すると信じる理由は何も見当たりません。
The clouds seem to be the only reality.
その雲だけが唯一の現実に思えます。
They seem to be all there is to see.
そこにはその雲しか存在しないように見えるからです。
Therefore, you do not attempt to go through them and past them, which is the only way in which you would be really convinced of their lack of substance.
そのせいで、あなたはその雲を通り抜けて雲の向こう側へと抜け出そうと試みようとはしません。でも、そうすることだけが、あなたが本当にその雲には実体がないことを真に確信するための唯一の方法なのです。
We will make this attempt today.
今日、私たちはこの試みに取りかかります。
6. After you have thought about the importance of what you are trying to do for yourself and the world, try to settle down in perfect stillness, remembering only how much you want to reach the light in you today,-- now!
あなたが試みようとしていることが、あなた自身とこの世界にとってどれほど重要なことなのか考えてください。そのあとで、完全な静寂の中で気持ちを落ち着かせて、今日、今この時、自分がどれほど自分の中の光に到達したいと望んでいるかだけを思い出してください。
Determine to go past the clouds.
雲を通り越してゆくのだと決心してください。
Reach out and touch them in your mind.
あなたの心の中で、手を伸ばして雲に触れてみてください。
Brush them aside with your hand; feel them resting on your cheeks and forehead and eyelids as you go through them.
手で雲を払いのけながら、あなたが雲を通り抜けるにつれて、雲があなたの頬や額や瞼に当たってくる感触を味わってください。
Go on; clouds cannot stop you.
そのまま進んで行きなさい。雲にはあなたを止めることなどできません。
7. If you are doing the exercises properly, you will begin to feel a sense of being lifted up and carried ahead.
あなたが正しく練習をこなしているなら、あなたは自分が抱え上げられて前方に運ばれてゆくような感覚を覚えはじめるでしょう。
Your little effort and small determination call on the power of the universe to help you, and God Himself will raise you from darkness into light.
あなたのささやかな努力と小さな決意が、あなたを助けるために全宇宙の力を呼び起こし、そして、神自身があなたを闇から光の中へと引き上げてくれるでしょう。
You are in accord with His Will.
あなたは神の大いなる意志と調和しているのです。
You cannot fail because your will is His.
あなたの意志は神の意志であるがゆえに、あなたが失敗することはありえません。
8. Have confidence in your Father today, and be certain that He has heard you and answered you.
今日は、自らの父なる神を信頼し、そして、その神がすでにあなたの声を聞き入れて、あなたに答えてくれていると確信してください。
You may not recognize His answer yet, but you can indeed be sure that it is given you and you will yet receive it.
あなたはまだ、神の答えに気づいていないかもしれません。しかし、あなたは本当に、神の答えが自分に与えられていて、自分はこれからその答えを受け取ることになると確信してよいのです。
Try, as you attempt to go through the clouds to the light, to hold this confidence in your mind.
雲を通り抜けて光に向かおうと試みるに際しては、あなたの心の中にこの確信を保つように努めてください。
Try to remember that you are at last joining your will to God's.
自分がついに自らの意志を神の意志とひとつに結び合わせているのだと忘れないようにしてください。
Try to keep the thought clearly in mind that what you undertake with God must succeed.
あなたが神とともに着手したことは必ず成功するという思いを明確に心の中に保つように努めてください。
Then let the power of God work in you and through you, that His Will and yours be done.
それから、あなたの中で、そして、あなたを通して神の力が働くようにして、神の大いなる意志とあなたの意志が成就するようにしてください。
9. In the shorter practice periods, which you will want to do as often as possible in view of the importance of today's idea to you and your happiness, remind yourself that your grievances are hiding the light of the world from your awareness.
今日の考えが自分と自分の幸福にとって重要だとわかったら、あなたはできるだけ頻繁に実習したいと思うはずですが、短いほうの実習では、あなたの不平不満が世界の光を隠してあなたに自覚できないようにさせてしまうことを思い出すようにしてください。
Remind yourself also that you are not searching for it alone, and that you do know where to look for it.
そしてまた、あなたは世界の光をひとりきりで探しているのではないし、あなたは、それをどこで探せばよいのかわかっているということも思い出すようにしてください。
Say, then:
そして次のように言ってください。
My grievances hide the light of the world in me.
私の不平不満が私の中にある世界の光を隠している。
I cannot see what I have hidden.
私には、自分の隠してしまったものを見ることはできない。
Yet I want to let it be revealed to me, for my salvation and the salvation of the world.
しかし、私の救済と世界の救済のために、私は、自分の隠したものが自分に明らかになるようにさせたい。
Also, be sure to tell yourself:
また、自分自身に次のように言い聞かせるのを忘れないようにしてください。
If I hold this grievance the light of the world will be hidden from me
もし私がこの不平不満を抱いたら、世界の光が私から隠されてしまうだろう。
, . . . if you are tempted to hold anything against anyone today.
それはもし、今日、あなたが何かについて誰かを非難したい誘惑に駆られたときのことです。

それでは、ブリトニーさんのレッスンです。
