T24-4 特別であることが素晴らしいってほんと?

2013年11月18日
テキスト第24章(特別であるという目標) 0


A wise man gets more use from his enemies than a fool from his friends.
賢者は愚者が友人から得る以上に、有益なものを敵から得る。

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Baltasar Gracián y Morales
バルタサル・グラシアン (「処世訓」より)



There is nothing noble in being superior to your fellow man; true nobility is being superior to your former self.
君と同じ境遇の仲間たちよりも抜きん出ることは少しも立派なことじゃない。真に気高いのは、以前の自分よりも優れた人間になることなんだ。



Ernest Hemingway
アーネスト・ヘミングウェイ






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今回はテキスト第二十四章から「特別性 対 無罪性」という一節をご紹介します。


特別性は罪を歓迎する

特別性は、他者と自分が分離していることを前提に、自分が他者よりも優秀で、他者が自分よりも愚劣であると認識することです。

他者が有罪であることは、他者を貶めて相対的に自分が高い位置にあるように思えることなので、特別性は罪を歓迎します。





特別性を追求することは神の子に対する攻撃

しかし、他者の罪を歓迎し、他者に罪悪感を抱かせ、罪に対する処罰を要求することは、本当はひとつである心が自分で自分を傷つけようとすることでしかありません。

それでも、エゴに従うかぎり、特別性を追い求める衝動からは逃れられず、他者に罪がないと見ることは、自分が特別ではないという真実を突き付けられる脅威となります。

したがって、罪のない兄弟は敵となり、彼を十字架にかけることで、実は自分を十字架にかけることになってしまいます。


愛を求める哀訴が本質である攻撃に愛による助けで応えるべきなら、特別性に特別性で応えるのは攻撃に攻撃で応じるの同じ誤りとなる

特別でありたいという熱病のような衝動も、実は、自分が何者かを忘れ、エゴに取りつかれて妄想と狂気に陥ったために、愛によってひとつに結ばれようする奇跡への衝動が歪曲された愛を求める哀訴であるのは攻撃と同様です。

兄弟に罪があると知覚して、兄弟に罪を着せて自分は特別なまま安泰だと知覚するのは錯覚で、そう知覚することで自分は自分の救い主を磔刑にして、兄弟として見えている自分自身を磔刑にしたのだと気づく必要があります。


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テキスト 第二十四章 

IV. Specialness versus Sinlessness
四 特別性 対 無罪性



1. Specialness is a lack of trust in anyone except yourself.
 特別であることは、自分以外の誰も信用できないことです。

 Faith is invested in yourself alone.
 信頼はあなた自身に対してのみ置かれます。

 Everything else becomes your enemy; feared and attacked, deadly and dangerous, hated and worthy only of destruction.
 あなた以外のものはすべて、あなたの命を付けねらって攻撃をしかけてくる、恐ろしくて危険で、ただ破滅させる価値しか持たない憎むべきあなたの敵となります。

 Whatever gentleness it offers is but deception, but its hate is real.
 特別であろうとする者がどんな優しさを差し出そうとも、それは偽りでしかありませんが、その憎しみだけは本物です。

 In danger of destruction it must kill, and you are drawn to it to kill it first.
 破滅の危機にさらされれば、特別であろうとする者は必ず殺そうとするし、あなたもそれより先に殺したいという衝動に駆られます。

 And such is guilt's attraction.
 これこそ罪悪感の魅力です。

 Here is death enthroned as savior; crucifixion is now redemption, and salvation can only mean destruction of the world, except yourself.
 ここでは死が救い主の座に祭り上げられます。いまや磔刑になることが罪の償いとなり、救いとは自分自身を除いて、この世界が破滅することだけを意味します。

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2. What could the purpose of the body be but specialness?
 特別であること以外に、何が身体の目的になりうるでしょうか。

 And it is this that makes it frail and helpless in its own defense.
 身体が特別性を目的とすることが、身体を脆弱にし、自らを守る力を持たないようにしてしています。

 It was conceived to make you frail and helpless.
 身体は、あなたを脆弱で無力なものにするために考案されたのです。

 The goal of separation is its curse.
 分離を目標にしていることが身体の災いの元です。

 Yet bodies have no goal.
 もっとも、身体はいかなる目標も持つことはありません。

 Purpose is of the mind.
 目的は心に抱くものだからです。

 And minds can change as they desire.
 そして、心は自らが望むように変わることができます。

 What they are, and all their attributes, they cannot change.
 とはいえ、心には、心の本質はもちろん、心が持つどんな属性も変えることはできません。

 But what they hold as purpose can be changed, and body states must shift accordingly.
 それでも、目的として心が何を掲げるかは変えられるし、心の目的が変われば、それに従って身体の状態も変わります。

 Of itself the body can do nothing.
 身体は、それ自体では何もすることはできません。

 See it as means to hurt, and it is hurt.
 身体を傷つけるための手段とみなすなら、身体は傷つきます。

 See it as means to heal, and it is healed.
 身体を癒すための手段とみなすなら、身体は癒されます。



3. You can but hurt yourself.
 あなたが傷つけることができるのは自分自身だけです。

 This has been oft repeated, but is difficult to grasp as yet.
 このことは何度も繰り返してきました。それでも、まだ理解するのは難しいはずです。

 To minds intent on specialness it is impossible.
 特別であろうとする心にとっては、自分には自分自身を傷つけることしかできないと理解するのは不可能です。

 Yet to those who wish to heal and not attack, it is quite obvious.
 しかし、攻撃ではなく癒しを願う者にとっては、自分には自分しか傷つけられないことは本当にわかりきったことです。

 The purpose of attack is in the mind, and its effects are felt but where it is.
 攻撃という目的は心の中で抱くものであり、攻撃の結果もただそれが存在する心でのみ感じられるものです。

 Nor is the mind limited; so must it be that harmful purpose hurts the mind as one.
 それに、心は限られたものではないので、有害な目的を持つことは必ず、ひとつのものとしての心を傷つけてしまいます。

 Nothing could make less sense to specialness.
 特別さにとって、これほど意味をなさないことはほかにありません。

 Nothing could make more sense to miracles.
 奇跡にとって、これほど意味をなすことはほかにありません。

 For miracles are merely change of purpose from hurt to healing.
 というのは、奇跡とは単に、傷つけることから癒すことに目的を変更することでしかないからです。

 This shift in purpose does "endanger" specialness, but only in the sense that all illusions are "threatened" by the truth.
 このように、目的が変わることは特別さを「危機にさらす」ことになります。しかし、それは、単に、すべての幻想が真理によって「脅かされている」ことを意味するだけです。

 They will not stand before it.
 幻想は真理の前に立ちはだかることはできません。

 Yet what comfort has ever been in them, that you would keep the gift your Father asks from Him, and give it there instead?
 それなのに、あなたは父が求める贈り物を父に渡さずに幻想に与えようとしてきました。それによってあなたは幻想の中に、これまでどんな慰みを見出せたでしょうか。

 Given to Him, the universe is yours.
 愛を父に捧げるなら、万物があなたのものになります。

 Offered to them, no gifts can be returned.
 愛を幻想に渡すなら、贈り物はひとつも戻ってきません。

 What you have given specialness has left you bankrupt and your treasure house barren and empty, with an open door inviting everything that would disturb your peace to enter and destroy.
 あなたが神に捧げるべき贈り物を特別性に渡してしまったので、あなたは破綻を来たし、あなたの宝庫は枯渇して空っぽになり、扉が開け放たれたまま、中に入って好き放題に破壊するようにと、あなたの平安を乱そうとするあらゆるものを招いています。

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4. Earlier I said consider not the means by which salvation is attained, nor how to reach it.
 以前にも述べましたが、救いを得る方法や、どのように救いに到達できるのか、考えこまないようにしてください。

 But do consider, and consider well, whether it is your wish that you might see your brother sinless.
 しかし、自分が兄弟を罪なき者と見たいという願いを抱いているかどうかについては、じっくりと本当によく考えてみてください。

 To specialness the answer must be "no. "
 特別であろうとするなら、その答えは、そんな願いなど「ない」ということになるはずです。

 A sinless brother is its enemy, while sin, if it were possible, would be its friend.
 罪のない兄弟は特別性の敵であり、もし罪がありうるとすれば、罪こそが特別性の味方だからです。

 Your brother's sin would justify itself, and give it meaning that the truth denies.
 あなたの兄弟の罪が罪そのものを正当化し、そして、真理が否定する意味をその罪に与えます。

 All that is real proclaims his sinlessness.
 本当であるものはすべて、あなたの兄弟が無罪であることを宣言します。

 All that is false proclaims his sins as real.
 偽りであるものはすべて、あなたの兄弟の罪は本当のものだと宣言します。

 If he is sinful, then is your reality not real, but just a dream of specialness that lasts an instant, crumbling into dust.
 もしあなたの兄弟に罪があるとすれば、あなたの本質は現実ではない単なる夢、ひとしきり続いては塵へと崩れ去ってしまう特別な者が見る夢でしかないことになります。



5. Do not defend this senseless dream, in which God is bereft of what He loves, and you remain beyond salvation.
 神が自らの愛するものを奪われて、あなたが救われないままであり続けるという、こんな馬鹿げた夢を守ろうとしないでください。

 Only this is certain in this shifting world that has no meaning in reality: When peace is not with you entirely, and when you suffer pain of any kind, you have beheld some sin within your brother, and have rejoiced at what you thought was there.
 現実においては何の意味も持たない、この転変し続ける幻想世界の中でも、次のことだけは確かです。それは、あなたの心が完全に平安ではないときや、あなたが少しでも何らかの苦痛を感じているとき、あなたは自分の兄弟の中に何らかの罪を見て、そこに罪があると思って喜んでいるのだということです。

 Your specialness seemed safe because of it.
 兄弟を有罪とみなすことで、自分は無事に特別なままでいられるように思えるわけです。

 And thus you saved what you appointed to be your savior, and crucified the one whom God has given you instead.
 こうして、あなたは、自分の救い主となるべく自ら任命した自らの特別性を救い、神がその代わりにあなたに授けてくれた真の救い主である兄弟を磔刑にしてしまったのです。

 So are you bound with him, for you are one.
 そうなると、あなたは救い主とひとつなので、あなたもその救い主と同じ目に遭うことになってしまいます。

 And so is specialness his "enemy," and yours as well.
 したがって、特別性は救い主の「敵」であると同時に、あなたの敵でもあるのです。


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It’s not how much we give, but how much love we put into giving. – Mother Teresa

 松山 健 Matsuyama Ken
この記事を書いた人:  松山 健 Matsuyama Ken

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