T29-3 神の証人

2013年11月26日
テキスト第29章(目覚め) 0

英知とは自己から自由になることをいう。



ジッドゥ・クリシュナムルティ





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今回は、テキストから神の証人についての一節をご紹介します。


エゴの証人から神の証人へ

2.「Deny Him not His witness in the dream His Son prefers to his reality.
 神の子が本当の自分を差し置いて愛着している夢の中で、神の完全性を証明する証人となることを神に拒んでいてはなりません。

 He must be savior from the dream he made, that he be free of it.
 神の子が自分の作り出した夢から自由になるには、彼自身がその夢からの救い主にならなければならないからです。」

私たち地上を歩むすべてのエゴ・身体というアバターは、これまでエゴの証人となり、神の子を幽閉する看守の役目を果たしてきましたが、聖霊に従うことで、神の証人となり、神の子を夢から救い出す救い主となることができます。





だれもが自分が救い主であると学ぶ必要がある

冒頭の1.では、
「But he must learn he is a savior first, before he can remember what he is.
 しかし、自分が何者なのか彼が思い出せるようになるにはその前に、まず彼は自分が救い主であることを学ばなければなりません。

 And he must save who would be saved.
 そして、彼は救われるはずの者を救わなければなりません。

 On saving you depends his happiness.
 彼の幸せは、あなたを救うことにかかっています。」
と、自分が救い主であることを誰もが学ぶ必要があることが述べられます。

しかし、私たちが、自らの救い主であるほかの兄弟から学ぶに際しては、その兄弟が自分は救い主だということに関する学びを遂げている必要はありません。

上の文が述べるのは、あくまで、その人が自分が神の子であることを思い出せるようになるには当然、その前提として、他者を救う経験を通じて、自分が救い主であることを学ばなければならないということであって、救い主の自覚を得た人物、覚者からしか学ぶことができないということを意味する文章ではありません。


その兄弟が自分は救い主だと自覚していようがいまいが、自らをエゴや身体と同一化していようがいまいが、彼が救い主である事実は変わらない

「Whenever you are with a brother, you are learning what you are because you are teaching what you are.
 あなたが兄弟と一緒にいるときはつねに、あなたは真の自分が何者なのか学んでいるのです。なぜなら、そのとき、あなたは自分が何者なのか教えているからです。

 He will respond either with pain or with joy, depending on which teacher you are following.
 あなたと一緒にいるその兄弟は、あなたがエゴと聖霊のいずれの教師に従っているかによって、あなたに苦痛をもって応じるか、あるいは喜びをもって応じるかのいずれかの反応を示します。

 He will be imprisoned or released according to your decision, and so will you.
 その兄弟は、どちらの教師に従うかというあなたの決心次第で、幽閉されるか解放されることになります。このことは、同じようにあなた自身にもあてはまります。」(T8-3 神聖な出会い

兄弟が救い主であるという真実には、その兄弟自身が自分は救い主だと自覚しているかどうかとか、彼のエゴや身体との同一化の程度がいかほどかということはまったく関係しません。

つまり、その兄弟が真理への気づきを深めていることや解脱を遂げて、悟りを得ていることというような精神性指数(第8の習慣で言うSQ : Spiritual Quotient)の高さが兄弟を救い主にするわけではありません。

もちろん、世界が彼こそ本物!とお墨付きを与えて公認する「覚者」、「聖者」のありがたいお言葉が救いとなることもあるでしょう。

けれど、世間の褒めそやす大立者の言葉だからと受け入れる心境は、その反面で価値の序列を受け入れて、世間的に評価されない存在を凡庸で無価値なものと見下したり、同胞と自らの悟り具合を競い合うような自他分離を助長する面すらあるかもしれません。


聖者ではない俗物と評価される人たちを師とすることができる姿勢こそ得難い学びの姿勢

むしろ、エゴ本意で私たちの期待を裏切り、私たちに怒りをもたらしたり、攻撃してくるような兄弟であってこそ、私たちがその兄弟にどう対応するかによって、私たちに真の自分が何者なのか学ぶより大きな気づきのチャンスを与えてくれるとすら言えます。

これはもっともなことでしょう。

自分の過ちを正してより幸せになれる気づきを得られる恵み深い教訓の含まれたメッセージ、それも、自分と他者は実は分離していないというメッセージを自分に届けてくれるのが、世間の崇める聖者である場合、こちらからは喜んでメッセージを受け入れはするでしょうが、浅いレベルの気づきに留まりやすいでしょう。

それよりも、まったく同じメッセージが、いつも反発し合う配偶者や自分より下に見ている部下、敵対関係にある嫌いな知人、見知らぬ浮浪者から届けられる場合、そもそも受け入れるドアをシャットアウトしてしまいがちだけれども、いざ受け入れることができたときには、気づきは心の奥深いところまで到達して私たちの心を大きく変えてくれるでしょう。


思いやり

このように、無自覚ながらも私たちの救い主である兄弟に対するに際しての私たちのスタンスについては、、T2-5 ミラクル・ワーカーの次の文章が参考になると思います。

「10. Charity is a way of looking at another as if he had already gone far beyond his actual accomplishments in time.
 思いやりは、ほかの人のことを、あたかも彼が時間の中で現に到達しているところよりもはるか遠くまですでに進み終えているかのようにみなす方法です。

 Since his own thinking is faulty he cannot see the Atonement for himself, or he would have no need of charity.
 その人が抱いている考え方は不完全なので、彼は自分だけで贖罪を理解することができません。そうでなければ、彼には思いやりなど必要なかったことでしょう。

 The charity that is accorded him is both an acknowledgment that he needs help, and a recognition that he will accept it.
 彼に対して抱くのがふさわしい思いやりとは、彼には助けが必要であると認めること、そして、彼がその助けを受け入れるだろうと認めることの両方です。」



罪の証人についてのT27-6 罪の証人も参考になると思います。

罪の証人は身体の実在性を証言する感覚器官の快・不快です。

私たちは、自分の感覚器官や価値判断という罪の証人に惑わされて、世界中に神の証人が溢れているというのに、そのことに気づかず、自分の救い主を敵視して攻撃しているわけです。





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テキスト第二十九章 

III. God's Witnesses
三 神の証人



1. Condemn your savior not because he thinks he is a body.
 あなたの救い主が自分を身体だと思いこんでいるからといって、彼を非難してはなりません。

 For beyond his dreams is his reality.
 というのは、彼が見ている夢とはまったく別の次元に本当の彼はいるからです。

 But he must learn he is a savior first, before he can remember what he is.
 しかし、自分が何者なのか彼が思い出せるようになるにはその前に、まず彼は自分が救い主であることを学ばなければなりません。

 And he must save who would be saved.
 つまり、彼は救われるはずの者を救わなければなりません。

 On saving you depends his happiness.
 彼が幸せになるかどうかは、あなたを救うことにかかっています。

 For who is savior but the one who gives salvation?
 というのも、救い主とは、救いを与える者だけを意味するはずだからです。

 Thus he learns it must be his to give.
 救いを与えることで、彼は、与えるために救いが自分のものになっているはずだと学びます。

 Unless he gives he will not know he has, for giving is the proof of having.
 彼が救いを与えないかぎり、彼には自分が救いを持っていることがわかりません。というのは、与えることが持っていることの証しだからです。

 Only those who think that God is lessened by their strength could fail to understand this must be so.
 これがその通りに違いないと理解できないのは、自分が強くなることによって神の存在を小さくできると思っている者だけです。

 For who could give unless he has, and who could lose by giving what must be increased thereby?
 というのは、誰も自分が持っていないものを与えることはできないし、与えれば必ず増えるものを与えることによって失うことなど誰にもできないからです。

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2. Think you the Father lost Himself when He created you?
 あなたは、父なる神があなたを創造したときに、神は自分自身を失ってしまったと思うでしょうか。

 Was He made weak because He shared His Love?
 自らの大いなる愛を分かち合ったせいで、神は弱くなってしまったでしょうか。

 Was He made incomplete by your perfection?
 あなたが完全になることによって、神は不完全になってしまったでしょうか。

 Or are you the proof that He is perfect and complete?
 それとも、あなたは神が完全無欠である証しでしょうか。

 Deny Him not His witness in the dream His Son prefers to his reality.
 神の子が本当の自分を差し置いて愛着している夢の中で、神の完全性を証明する証人となることを神に拒んでいてはなりません。

 He must be savior from the dream he made, that he be free of it.
 神の子が自分の作り出した夢から自由になるには、彼自身がその夢からの救い主にならなければならないからです。

 He must see someone else as not a body one with him without the wall the world has built to keep apart all living things who know not that they live.
 彼は、ほかの誰かのことを、身体として見ずに、つまり、世界が築いた壁を抜きにして自分とひとつのものとして見なければなりません。その壁は、自分たちが生きているとはわかっていない生きとし生けるものを離ればなれに保っておくために世界が築いたものだったからです。



3. Within the dream of bodies and of death is yet one theme of truth; no more, perhaps, than just a tiny spark, a space of light created in the dark, where God still shines.
 身体や死の夢の中でも、依然としてひとつの真理がその根底に横たわっています。それは、闇の中に創造されたほんの小さな閃光でしかないかもしれませんが、その煌めく光の空間には、神が今でも輝いています。

 You cannot wake yourself.
 あなたは自分を目覚めさせることはできません。

 Yet you can let yourself be wakened.
 しかし、あなたは、自分を目覚めさせてもらうことはできます。

 You can overlook your brother's dreams.
 あなたは、自分の兄弟の夢を無視することができます。

 So perfectly can you forgive him his illusions he becomes your savior from your dreams.
 あなたが完璧に兄弟の幻想について兄弟を赦すことができれば、彼はあなたの見る夢からあなたを救い出してくれる救い主となります。

 And as you see him shining in the space of light where God abides within the darkness, you will see that God Himself is where his body is.
 そして、あなたが、闇の中で神が留まる光の空間において、自分の兄弟が輝いているのを見るようになれば、あなたは兄弟の身体があるところに神自身がいるのを見るでしょう。

 Before this light the body disappears, as heavy shadows must give way to light.
 どんなに暗い影も光には道を譲らざるをえないのと同じように、この光を前にすれば身体は消え失せてしまいます。

 The darkness cannot choose that it remain.
 闇にはそこに残る選択ができません。

 The coming of the light means it is gone.
 光の到来は闇が去ったことを意味するからです。

 In glory will you see your brother then, and understand what really fills the gap so long perceived as keeping you apart.
 そのとき、栄光のうちに、あなたは自分の兄弟を見るでしょう。そして、あまりに長い間あなたたちを引き離しているように知覚されていた隔たりを本当は何が満たしているのか理解できるようになります。

 There, in its place, God's witness has set forth the gentle way of kindness to God's Son.
 その隔たりの代わりに、そこに神の証人が、神の子に対する思いやりに満ちたなだらかな道を敷いてくれています。

 Whom you forgive is given power to forgive you your illusions.
 あなたが赦す人には、あなたが抱く幻想についてあなたを赦す力が与えられます。

 By your gift of freedom is it given unto you.
 あなたが自由を与えることによって、あなた自身に対してその自由が与えられます。

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4. Make way for love, which you did not create, but which you can extend.
 愛に道を譲ってください。愛はあなたが創造したものではありませんが、あなたは愛を拡張することができます。

 On earth this means forgive your brother, that the darkness may be lifted from your mind.
 地上では、愛を拡張することは、あなたの兄弟を赦して、あなたの心から闇が取り除かれるようにすることを意味します。

 When light has come to him through your forgiveness, he will not forget his savior, leaving him unsaved.
 あなたの赦しを通して兄弟に光が届いたら、兄弟は自分の救い主のことを忘れて彼を救われないままにしておこうとはしないはずです。

 For it was in your face he saw the light that he would keep beside him, as he walks through darkness to the everlasting Light.
 というのは、彼が闇を通り抜けて永遠に消えることのない大いなる光へと歩んでゆく際に、自らの傍らに携えて行きたいと思う光があなたの顔に輝くのを見たからです。



5. How holy are you, that the Son of God can be your savior in the midst of dreams of desolation and disaster.
 荒廃した悲惨な夢のまっただ中にあっても、神の子に自分の救い主になってもらえるとは、あなたはなんと神聖な存在なのでしょうか。

 See how eagerly he comes, and steps aside from heavy shadows that have hidden him, and shines on you in gratitude and love.
 どんなに神の子が熱望してやってくるか見てください。彼は、自分を覆い隠していた重々しい影から飛び出してきて、感謝と愛をこめてあなたに光を注いでくれます。

 He is himself, but not himself alone.
 その兄弟は彼のままですが、もはや彼自身にとどまらない存在です。

 And as his Father lost not part of him in your creation, so the light in him is brighter still because you gave your light to him, to save him from the dark.
 そして、彼の父なる神があなたを創造することで自らの一部を失ってなどいないように、彼を闇から救い出すためにあなたが自分の光を彼に与えることで彼の内なる光はなおいっそう輝きを増しています。

 And now the light in you must be as bright as shines in him.
 そして、いまやあなたの中の光は、彼の中で輝く光と同じくらい明るく輝いているに違いありません。

 This is the spark that shines within the dream; that you can help him waken, and be sure his waking eyes will rest on you.
 これこそ夢の中で輝く閃光です。この夢の中の閃光によって、あなたは兄弟を目覚めさせる手助けができるし、彼の目覚めた目が自分に向けられるのを確信できます。

 And in his glad salvation you are saved.
 そして、彼が喜びに満ちて救われることで、あなたは救われるのです。


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It’s not how much we give, but how much love we put into giving. – Mother Teresa

 松山 健 Matsuyama Ken
この記事を書いた人:  松山 健 Matsuyama Ken

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