レッスン272「どうして幻が神の子を満足させられるだろうか」
権威は、それが信念や伝統の権威であろうと、あるいは道徳と呼ばれている習慣によるものであろうと、どれも邪悪なのである。

ジッドゥ・クリシュナムルティ
よい人と一生安らかにいたとて、
一生この世の栄耀をつくしたとて、
所詮は旅立する身の上だもの、
すべて一場の夢さ、一生に何を見たとて。
(第20詩)

オマル・ハイヤーム 「ルバイヤート」

レッスン272です。
「どうして幻が神の子を満足させられるだろうか」が今日のテーマです。
まず、キリストとは何かをご覧ください。

いい思いさえさせてくれるなら、幻でもいい!
アバターである私たちはエゴに支配されているので、自分の欲望を満たしさえしてくれるなら、幻でも十分お腹いっぱいになれるように思います。
というよりも、真理なんかよりも、自分が思う存分美しく、力強く豊かで、他者から賛美されて、やりたい放題できる権力も得られるのであれば、そっちのほうがずっといいように思います。
これはエゴからすればもっともな思考であり、身体の目というアバターのカメラから世界を見ているかぎり、この発想から逃れる術(すべ)はないままでしょう。
ここからの脱出は、はたらく細胞的な観点で言えば、自分のアイデンティティーを体内世界の一細胞・一器官からその人体を所有する魂へとシフトしないかぎりはありえません。
はてしない物語の後半のバスチアンの歩みを振り返って、ぜひ「汝の欲することをなせ」とのアウリンの裏に刻まれた言葉の意味を考えていただきたいと思います。
バスチアンとグラオーグラマーンの対話
バスチアンと色のある死グラオーグラマーンの次の対話に耳を傾けてみましょう。

〜〜〜
それからまた数日後、少年とライオンはもう一度、とても大事なことをはなしあった。
バスチアンはライオンに宝のメダルの裏に記された文字を見てたずねた。「これは、どういう意味だろう?『汝の 欲する ことを なせ』というのは、ぼくがしたいことはなんでもしていいっていうことなんだろう、ね?」
グラオーグラマーンの顔が急に、はっとするほど真剣になり、目がらんらんと燃えはじめた。
「ちがいます。」あの、深い、遠雷のような声がいった。「それは、あなたさまが真に欲することをなすべきだということです。あなたさまの真の意志を持てということです。これ以上にむずかしいことはありません。」
「ぼくの真の意志だって?」バスチアンは心にとまったそのことばをくりかえした。「それは、いったい何なんだ?」
「それは、あなたさまがご存じないあなたさまご自身の深い秘密です。」
「どうしたら、それがぼくにわかるだろう?」
「いくつもの望みの道をたどってゆかれることです。一つ一つ、最後まで。それがあなたさまをご自分の真に欲すること、真の意志へと導いてくれるでしょう。」
「それならそれほどむずかしいとも思えないけど。」バスチアンはいった。
「いや、これはあらゆる道の中で、一番危険な道なのです。」ライオンはいった。
「どうしてだい?」バスチアンはたずねた。「ぼくは怖れないぞ。」
「怖れるとか怖れないとかではない。」グラオーグラマーンは声を荒げていった。「この道をゆくには、この上ない誠実さと細心の注意がなければならないのです。この道ほど決定的に迷ってしまいやすい道はほかにないのですから。」
「それは、ぼくたちの持つ望みがいつもよい望みだとはかぎらないからかい?」
ライオンは尻尾でそばの砂をぴしゃりと打った。そして耳を伏せ鼻にしわを寄せた。目は火を吹いていた。つづいてグラオーグラマーンがまたあの大地をゆるがす声を発したとき、バスチアンは思わず頭をすくめた。
「望みとは何か、よいとはどういうことか、わかっておられるのですかっ?」
〜〜〜

(「はてしない物語」ミヒャエル・エンデ作 上田真而子 佐藤真理子 訳 岩波書店 317頁より引用)
T24-1 愛の代用としての特別性で引用しているアイゥオーラおばさまおばさまとバスチアンの会話が参考になると思います。
「英雄の旅」も参考になると思います。


Lesson 272
How can illusions satisfy God's Son?
どうして幻が神の子を満足させられるだろうか。
1. Father, the truth belongs to me.
父よ、真理は私のものです。
My home is set in Heaven by Your Will and mine.
あなたの大いなる意志と私の意志によって、わが家のありかは天国と決まっています。
Can dreams content me?
夢が私を満足させられるでしょうか。
Can illusions bring me happiness?
幻想が私に幸福をもたらせるでしょうか。
What but Your memory can satisfy Your Son?
あなたの記憶以外のいったい何があなたの子を満足させられるでしょうか。
I will accept no less than You have given me.
私は、あなたが私に授けてくれたものに満たないものを受け入れるつもりはありません。
I am surrounded by Your Love, forever still, forever gentle and forever safe.
私はあなたの大いなる愛に包みこまれて、永遠に静けさの中にあり、永遠に穏やかで、永遠に安全です。
God's Son must be as You created him.
神の子は、あなたが彼を創造したままであるに違いありません。
2. Today we pass illusions by.
今日、私たちは、幻想を通り過ぎます。
And if we hear temptation call to us to stay and linger in a dream, we turn aside and ask ourselves if we, the Sons of God, could be content with dreams, when Heaven can be chosen just as easily as hell, and love will happily replace all fear.
そして、もし自分たちを夢の中に留めて長居させようと誘惑する呼びかけを私たちが聞いたなら、私たちはそれを受け流して、次のように自問します。地獄を選ぶのと同じくらい容易に天国を選ぶことができ、あらゆる恐怖が喜びに満たされて愛に置き換わるというのに、神の子である私たちが夢などで満足していられるだろうか、と。

それでは、ブリトニーさんのレッスンです。

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