レッスン332「恐れがこの世界を束縛している。赦しがこの世界を解放する」
You can discover what your enemy fears most by observing the means he uses to frighten you.
敵があなたを怖がらせる方法をよく観察すれば、その敵が最も恐れていることを見つけることができる。

Eric Hoffer
エリック・ホッファー
相手に何を許すかで、自分をどう扱ってほしいのかを相手に伝えていることになる。

スティーブン・R・コヴィー

レッスン332です。
「恐れがこの世界を束縛している。赦しがこの世界を解放する」が今日のレッスンです。
まず、エゴってなに?をご覧ください。

恐れという蜘蛛の糸からなる世界
恐れは、愛の不在に名前をつけたもので、実在しない影だということでした。
それでも、実在しないはずの恐れが世界を束縛しているということは、世界に生きている私たちにはよく理解できます。
恐怖という蜘蛛の糸の網でできた蜘蛛の巣が世界を覆い、私たちは、この蜘蛛の糸でがんじがらめに縛られて囚人になっているからです。
私たちは、こんな蜘蛛の糸から逃れたいと思っています。
恐れのコントロール
T2-6 恐れと葛藤、T2-7 原因と結果で、イェシュアは、私たちはイェシュアに頼んで恐れを取り除いてもらうことはできないが、私たちはイェシュアに教えてもらいながら自分で恐れを制することができると述べます。
その方法は、恐れを力で制圧して無理やり抑え込もうとするのではなく、愛を通しての理解、すなわち、実在する愛によって満たすことで、愛の不在でしかない恐れが実在しない無であることをその本質通り完全に理解し会得することだということです。
恐れの制御と赦しの類似性
この理解は、赦しの理解に通じるものです。
赦しは、①罪が実在しないと見極めて、②その認識通りに看過することですが、いわゆる滅びに至る許しになってしまうのは、①が徹底しないまま②を試みる点に理由があります。
恐れを克服しようとする場合も、恐れが実在しないことを徹底的に理解することに焦点を合わせる必要があります。
すなわち、恐れは実在である愛の不在であるが、そもそもこの世界は幻想であり、その構成要素は恐怖であり、夢の世界の中でエゴに従って恐怖を味わっている個別の自分が実在するということ自体が錯覚である、つまり、架空の世界の中の架空のキャラクターに自己同一化している以上は、恐怖を持つのが当たり前だということを認める必要があります。
つまり、人間として生きている以上、エゴが恐怖心を煽って心に恐れが湧いてくるのは当然だということです。
エゴが突かれるのを最も嫌がるのは?
冒頭のエリック・ホッファーの言葉を振り返りましょう。
「敵があなたを怖がらせる方法をよく観察すれば、その敵が最も恐れていることを見つけることができる。」
これは、一般的な意味で、人は自分がされたら最も嫌なことを他者にすれば、自分と同じように相手も怖がるはずだいう考え方に基づいて脅すのだという「自分がしてほしいことを他者にせよ」という黄金律を逆転させた発想だと考えれば理解できます。
脅迫者が身体を傷つけることをチラつかせるなら、その人は身体を傷つけられるのが怖いわけだし、社会的評価を貶めるぞと脅す人は体面を損なわれるのが怖いのだし、家族に危害を加えるという人は家族が傷つくのが怖いわけです。
エゴが私たちを怖がらせる方法は、私たちのアイデンティティーを身体に集中させて、身体の喪失を匂わせて恐怖心を煽るというやり方です。
エゴは私たちが身体として確固たる実在性を持っている個別の分離した存在だという想念であり、真理に反する幻想です。
したがって、エゴが最も怖がっているのは、私たちに自分は身体ではないと見抜かれ、その結果、エゴ自体が実在しないことが明らかになることです。
私たちが自分を架空の登場人物とみなす方法
ここから敷衍すると、私たちがエゴの痛いところを突くうえで最も有益なのは、恐怖を味わう人間であると思っている自分自身が本当は実在しない物語の主人公と同じくらい架空の存在であると気づくことだといえます。
これは私たちが人であることを前提にした、「死んだつもりになれば怖いものなんてない」とか、メメントモリ「死を想え」どころの問題ではありません。
「お前はもう死んでいる」ですらありません。
個としての人間として生きているつもりでいたこと自体が錯覚だったわけだからです。
はたらく細胞で言えば、白血球である自分は人体内のほかの細胞とは分離して独立していると思い込んでいたけれど、本当の自分は人体全体であり、人体を持つ魂だったわけです。
アバターとしての人間にアイデンティティーを合わせているかぎり、自意識を抱いて自分にフォーカスを向けることは、自己肯定感が高かろうが低かろうが、偽りの自己像という牢獄の中への真の自己の幽閉を強めることを意味し、害にしかなりません。

Lesson 332
Fear binds the world. Forgiveness sets it free.
恐れがこの世界を束縛している。赦しがこの世界を解放する。

1. The ego makes illusions.
エゴは、幻想を作り出します。
Truth undoes its evil dreams by shining them away.
真理はその輝きで追い払うことによって、エゴの作り出す邪悪な夢を取り消します。
Truth never makes attack.
真理は、決して攻撃することはありません。
It merely is.
真理はただ在るのみです。
And by its presence is the mind recalled from fantasies, awaking to the real.
そして、真理の臨在によって、心は、空想から呼び戻されて現実に目覚めます。
Forgiveness bids this presence enter in, and take its rightful place within the mind.
赦しは、この真理の臨在を呼び入れ、真理を心の中でふさわしい場に就かせます。
Without forgiveness is the mind in chains, believing in its own futility.
赦しなくしては、心は自分には意味がないと信じこんで、自らを鎖につなぐことになります。
Yet with forgiveness does the light shine through the dream of darkness, offering it hope, and giving it the means to realize the freedom that is its inheritance.
しかし、赦しによって、光が闇の夢の隅々に行き渡り、心に希望を与えながら、心が本来持っている自由に気づくための手段を心に授けてくれます。
2. We would not bind the world again today.
今日こそ、私たちは、二度とこの世界を束縛しないことにします。
Fear holds it prisoner.
恐れがこの世界を虜にしています。
And yet Your Love has given us the means to set it free.
それでも、あなたの大いなる愛が、私たちに、この世界を解放するための手段を授けてくれています。
Father, we would release it now.
父よ、私たちは今、この世界を解放することにします。
For as we offer freedom, it is given us.
というのも、私たちが自由を差し出すことで、自由は私たちに与えられるからです。
And we would not remain as prisoners, while You are holding freedom out to us.
そして、あなたが自由を私たちに差し延べてくれているのですから、私たちは囚人のままでいるつもりはありません。

それでは、ブリトニーさんのレッスンです。

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