T6-4 唯一の答え


理知はわれわれ人間の問題を何ひとつ解決することはないであろう。



Jiddu Krishnamurti
ジッドゥ・クリシュナムルティ

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今回はテキスト第六章から唯一の答えという一節をご紹介します。


エゴは何も知ることができず疑問を抱くだけ

エゴとは分離によって生まれた想念であり、神に創造されて神と一体のままの神の子が、自分は創造主から分離して神の大いなる心の外にいる存在となったと信じ、自分が神とは分離した個別の隔絶した心だと信じる心の部分を代弁します。

神の子が分離という錯覚によって自らの源から自分を切り離す狂気によって生み出した存在であるがゆえに、エゴには何も知ることができず、疑問を抱くことしかできません。



2.「The ego, then, raised the first question that was ever asked, but one it can never answer.
 そうしてエゴは、その後ずっと問い続けながらも、自分では決して答えることのできない最初の疑問を発しました。

 That question, "What are you? " was the beginning of doubt.
 その疑問とは『あなたは何者なのか』というものでした。これが疑いを抱く始まりとなりました。

 The ego has never answered any questions since, although it has raised a great many.
 それ以来、エゴは実に多くの疑問を呈してきましたが、どんな問いにも一度も答えたことはありませんでした。」




神はわが子が生み出したエゴを強引に消去したりせず、答えを与えて私たちが自分の意志で取り消せるよう助けてくれた

神の子が神から与えられた自由意志を上手に用いることができずに分離幻想を抱いた結果生み出されたのがエゴなわけですが、神がエゴを消去しようとすることは神の子に与えた自由意志を制約して子の意志に介入して自らの意志に従うよう攻撃によって強制することなので、神は子の意志に反してエゴを消去することはしません。

そうではなく、神は、子が自分の自由意志を上手に使うことを学んで自分でエゴを取り消して正気を取り戻せるように、子に正しい答えを与えてくれました。

神の答え、私たちは誰なのか?というエゴの疑問に対する答え、唯一の答え、それは聖霊です。


12.「Being questioned, He did not question.
 エゴからの質問に対して、神は問い返すことはしませんでした。

 He merely gave the Answer.
 神は単に、大いなる答えを与えただけです。

 His Answer is your Teacher.
 神の大いなる答えこそ、あなたの大いなる教師である聖霊なのです。」

私は人ではないの?私とは何?が参考になると思います。


聖霊の答え

そして、答えである聖霊がエゴの呈するすべての疑問に対して出す回答は、つぎのようなものです。

6.「You are a child of God, a priceless part of His Kingdom, which He created as part of Him.
 あなたは神のひとり子であり、神が自らの一部として創造した神の王国のかけがえのない部分なのです。

 Nothing else exists and only this is real.
 ほかには何も存在するものはなく、ただこれだけが実在します。

 You have chosen a sleep in which you have had bad dreams, but the sleep is not real and God calls you to awake.
 あなたは眠りに就くことを選び、その眠りの中で悪夢を見てきました。しかし、そんな眠りは現実ではないし、神はあなたに目を覚ますようにと呼びかけています。

 There will be nothing left of your dream when you hear Him, because you will awaken.
 あなたが神の声に耳を傾けるなら、あなたの夢見たことは何ひとつ残らないでしょう。なぜなら、あなたは目覚めることになるからです。」


自由意志の誤用によって生み出されたエゴに従うかぎり私たちは自由意志を失ったまま



私たちは、自由意志を用いてエゴを作り出しましたが、それは自由意志の誤用であったがゆえに、エゴに従うかぎり、私たちは自由意志を喪失したままです。

「It is not your will to be imprisoned because your will is free.
 囚われの身となることは、あなたの意志ではありません。なぜなら、あなたの意志は自由だからです。

 That is why the ego is the denial of free will.
 だから、エゴとは自由意志の否定なのです。」(テキスト第八章 二 幽閉と自由との違い 3)

「2. Consciousness, the level of perception, was the first split introduced into the mind after the separation, making the mind a perceiver rather than a creator.
 意識という知覚のレベルは分離以後に心の中に取りこまれた最初の分裂でした。この意識が、心を創造するものではなく、知覚するものに変えてしまったのです。

 Consciousness is correctly identified as the domain of the ego.
 意識は、正確にはエゴが支配する領域として位置づけられるべきものです。」(T3-4 誤りとエゴ


ユーザーイリュージョン―意識という幻想が参考になると思います。

イリュージョン


はたらく細胞で考えるエゴ

はたらく細胞的に、人体に置き換えて考えてみましょう。




エゴとは全体の一部が全体から分離して自給自足できるという信念であり、全体の中のごく一部だけにアイデンティティーを減縮して自分として意識できる範囲を狭める想念です。

人が自由意志を持つと仮定した場合、その自由を行使できるのは、その人自身(=魂)です。

その人の人格が分裂して、生み出された副人格が主人格であるその人から領地をぶんどって自覚しコントロールできる範囲が右手に制限される場合、右手は自分で自由に動いているつもりにはなります。

しかし、全体としてのその人自身からすれば、これは自分の随意に動かせる範囲を喪失することであり、自由意志の喪失を意味します。

右手が狂気の視野狭窄によって自分の敵だと考えている目を攻撃して失明させて、勝利の喜びに浸るとき、その人自身は自分の自由意志の喪失がもたらした悲劇に嘆き悲しむことしかできないでしょう。

私たちもエゴに従っているかぎり、神の子にとってこの右手と同じような狂気の不随意運動を起こしているわけです。


神の答えである聖霊から学んで、真の自由意志を取り戻しましょう!

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テキスト第六章

IV. The Only Answer
四 唯一の答え



1. Remember that the Holy Spirit is the Answer, not the question.
 聖霊は、質問ではなく大いなる答えなのだということを思い出してください。

 The ego always speaks first.
 必ずエゴのほうが先に語り出します。

 It is capricious and does not mean its maker well.
 エゴは気まぐれで、自分の作り主のことを快く思ってはいません。

 It believes, and correctly, that its maker may withdraw his support from it at any moment.
 エゴは、自分の作り主がエゴに対する支援を今にも取りやめてしまうかもしれないと信じています。そして、この限りではエゴは正しいといえます。

 If it meant you well it would be glad, as the Holy Spirit will be glad when He has brought you home and you no longer need His guidance.
 もしエゴがあなたに善かれと思っていたなら、聖霊があなたを故郷に連れ戻し、あなたがもう聖霊の導きを必要としなくなったときに聖霊がそれを喜ぶのと同じように、エゴもそのことを喜ぶはずです。

 The ego does not regard itself as part of you.
 エゴは、自分自身をあなたの一部分だとみなしてはいません。

 Herein lies its primary error, the foundation of its whole thought system.
 ここにこそ、エゴの全思考システムの土台となるエゴの根本的な誤りを見出すことができます。



2. When God created you He made you part of Him.
 神があなたを創造したとき、神はあなたを神自身の一部としました。

 That is why attack within the Kingdom is impossible.
 それゆえに、王国の中では攻撃は不可能なのです。

 You made the ego without love, and so it does not love you.
 あなたは愛なしにエゴを作りました。それゆえ、エゴはあなたを愛してはいません。

 You could not remain within the Kingdom without love, and since the Kingdom is love, you believe that you are without it.
 あなたは、愛のないままで王国に留まることができませんでした。そして、王国は愛そのものなので、あなたは自分が王国の外にいるものと信じています。

 This enables the ego to regard itself as separate and outside its maker, thus speaking for the part of your mind that believes you are separate and outside the Mind of God.
 あなたが自分は王国の外にいると信じることによって、エゴは自分自身が作り主から分離して作り主の外側にいる存在だとみなすことができるようになり、その結果としてエゴは、自分が神から分離していて神の大いなる心の外側にいると信じているあなたの心の部分を代弁するようになったのです。

 The ego, then, raised the first question that was ever asked, but one it can never answer.
 そうしてエゴは、その後ずっと問い続けながらも、自分では決して答えを出せない最初の疑問を発しました。

 That question, "What are you? " was the beginning of doubt.
 その疑問とは「あなたは何者なのか」というものでした。これが疑いを抱く始まりとなりました。

 The ego has never answered any questions since, although it has raised a great many.
 それ以来、エゴは実に多くの疑問を呈してきましたが、どの問いにも一度も答えを出すことができずにいます。

 The most inventive activities of the ego have never done more than obscure the question, because you have the answer and the ego is afraid of you.
 エゴの最も独創的な活動でさえ、そんな疑問をただ曖昧にしただけでした。なぜなら、あなたはその答えを持っているので、エゴはあなたのことを恐れているからです。

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3. You cannot understand the conflict until you fully understand the basic fact that the ego cannot know anything.
 エゴは何も知ることができないという根本的な事実をあなたが十分に理解するまでは、あなたはこの葛藤を理解することができません。

 The Holy Spirit does not speak first, but He always answers.
 聖霊が先に語ることはありませんが、聖霊は必ず答えてくれます。

 Everyone has called upon Him for help at one time or another and in one way or another, and has been answered.
 誰もがみな、幾度かは何らかの方法で聖霊に助けを求めたことがあるし、現に答えてもらったことがあるはずです。

 Since the Holy Spirit answers truly He answers for all time, which means that everyone has the answer now.
 聖霊は真に答えるので、聖霊はいついかなるときも答えています。これが意味するのは、誰もがみな、今、その答を得ているということです。



4. The ego cannot hear the Holy Spirit, but it does believe that part of the mind that made it is against it.
 エゴには聖霊の声を聞くことができません。しかし、エゴは、自分を作り出した心の一部分が自分に対立していることは確かに信じています。

 It interprets this as a justification for attacking its maker.
 エゴはこのことを、自分の作り主を攻撃する正当な理由であると解釈します。

 It believes that the best defense is attack, and wants you to believe it.
 エゴは攻撃こそが最大の防御だと信じ、あなたにもそう信じさせたいと望んでいます。

 Unless you do believe it you will not side with it, and the ego feels badly in need of allies, though not of brothers.
 これがその通りだとあなたが信じているのでなければ、あなたはエゴの側に与しないはずです。そこでエゴは、兄弟が必要だと思うことはないにしても、何としても同盟を結ぶ者が必要だと感じます。

 Perceiving something alien to itself in your mind, the ego turns to the body as its ally, because the body is not part of you.
 あなたの心の中には、エゴ自体と相容れない存在がいると知覚しているので、エゴは自分の同盟者として身体に頼るようになります。なぜなら、身体はあなたの一部ではないからです。

 This makes the body the ego's friend.
 このことが身体をエゴの盟友にします。

 It is an alliance frankly based on separation.
 エゴと身体の同盟関係は、あからさまに分離に基盤を置きます。

 If you side with this alliance you will be afraid, because you are siding with an alliance of fear.
 もしあなたがこんな同盟の側に与するなら、あなたは恐れるようになってしまいます。なぜなら、あなたは恐怖の同盟に加担することになるからです。

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5. The ego uses the body to conspire against your mind, and because the ego realizes that its "enemy" can end them both merely by recognizing they are not part of you, they join in the attack together.
 エゴは、身体を利用して、あなたの心に反逆する陰謀を企てます。そして、エゴは自分の「敵」であるあなたは、ただ単にエゴと身体はどちらも自分の一部ではないと認めるだけで、両者をまとめて始末できることに感づいているので、エゴと身体は結束して力を合わせて攻撃するのです。

 This is perhaps the strangest perception of all, if you consider what it really involves.
 もしあなたが、このことが本当に何を意味するのかよく考えてみれば、これはおそらく、最も異常な知覚の仕方だとわかるはずです。

 The ego, which is not real, attempts to persuade the mind, which is real, that the mind is the ego's learning device; and further, that the body is more real than the mind is.
 というのも、実在しないエゴが実在する心に対して、心はエゴが学ぶための道具だと説得しようとするばかりか、さらに進んで、身体のほうが心よりもずっと実在的なものなのだと説得しにかかっているわけだからです。

 No one in his right mind could possibly believe this, and no one in his right mind does believe it.
 正しい心にある者は誰ひとり、とてもこんなことを信じられるはずがないし、実際、正しい心にありながら、こんなことを信じる者は誰もいません。



6. Hear, then, the one answer of the Holy Spirit to all the questions the ego raises:
 それでは、エゴの呈するすべての疑問に対する聖霊のたったひとつの答えを聞いてください。

 You are a child of God, a priceless part of His Kingdom, which He created as part of Him.
 あなたは神のひとり子であり、神が自らの一部として創造した神の王国のかけがえのない部分なのです。

 Nothing else exists and only this is real.
 ほかには何も存在するものはなく、ただこれだけが実在します。

 You have chosen a sleep in which you have had bad dreams, but the sleep is not real and God calls you to awake.
 あなたは眠りに就くことを選び、その眠りの中で悪夢を見てきました。しかし、そんな眠りは現実ではないし、神はあなたに目を覚ますようにと呼びかけています。

 There will be nothing left of your dream when you hear Him, because you will awaken.
 あなたが神の声に耳を傾けるなら、あなたの夢見たことは何ひとつ残らないでしょう。なぜなら、あなたは目覚めることになるからです。

 Your dreams contain many of the ego's symbols and they have confused you.
 あなたの夢の中にはエゴを象徴するものがたくさん含まれており、それらのエゴの象徴があなたを混乱させてきました。

 Yet that was only because you were asleep and did not know.
 しかし、あなたがエゴの象徴に混乱させられてしまっていたのは単に、あなたが眠りこんでいて何も知らなかったからでしかありません。

 When you wake you will see the truth around you, and you will no longer believe in dreams because they will have no reality for you.
 あなたが目覚めたなら、あなたは自分が真理に包まれているとわかるでしょう。そうなれば、そのとき夢はあなたにとって一切の現実味を失ってしまっているので、あなたはもはや夢を信じることはなくなるでしょう。

 Yet the Kingdom and all that you have created there will have great reality for you, because they are beautiful and true.
 他方で、王国とそこであなたが創造したすべてのものが、あなたにとって著しい現実味を帯びてくるでしょう。なぜなら、王国とそこであなたが創造したすべてのものは美しくて真実だからです。

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7. In the Kingdom, where you are and what you are is perfectly certain.
 王国においては、あなたがどこにいるのか、そして、あなたが何者なのか、完璧に確信できます。

 There is no doubt, because the first question was never asked.
 このことに疑問の余地はありません。なぜなら、あなたがどこにいるのかという最初の質問が一度も問われたことがないからです。

 Having finally been wholly answered, it has never been.
 最終的に完全に答えが出されているがゆえに、最初の質問はこれまで存在したことなど一度もなかったのです。

 Being alone lives in the Kingdom, where everything lives in God without question.
 実在するものだけが王国のうちに生きています。王国では、あらゆるものが何らの疑問も抱くことなく神の中に生きています。

 The time spent on questioning in the dream has given way to creation and to its eternity.
 夢の中で質問することに費やされた時間は、創造と創造の永遠性へと取って代わられています。

 You are as certain as God because you are as true as He is, but what was once certain in your mind has become only the ability for certainty.
 あなたは神と同じように真実であるがゆえに、あなたは神と同じように確実なるものです。しかし、かつてはあなたの心の中で確信であったものが、いまや確信を得るための単なる能力になってしまっています。



8. The introduction of abilities into being was the beginning of uncertainty, because abilities are potentials, not accomplishments.
 実在にさまざまな能力を取り入れたことが確信を失う始まりでした。なぜなら、能力とは可能性があることであり、完成していることではないからです。

 Your abilities are useless in the presence of God's accomplishments, and also of yours.
 神の成果を前にしては、あなたの能力など無用です。そして、神の成果は、あなたの成果でもあるのです。

 Accomplishments are results that have been achieved.
 成果とは、成し遂げられた結果をいいます。

 When they are perfect, abilities are meaningless.
 成果が完全であるとき、能力など意味をなしません。

 It is curious that the perfect must now be perfected.
 すでに完全であるものが、今さら改めて完全にされなければならないというのは奇異なことだからです。

 In fact, it is impossible.
 それどころか、そんなことは不可能です。

 Remember, however, that when you put yourself in an impossible situation you believe that the impossible is possible.
 それでも、次のことは覚えておいてください。すなわち、あなたが自分自身をとうていありえない状況に置くなら、ありえないことでもありうるとあなたは信じてしまうということです。

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9. Abilities must be developed before you can use them.
 あなたが能力を使えるようになるためには、その前にまず、その能力を発達させる必要があります。

 This is not true of anything that God created, but it is the kindest solution possible for what you made.
 このことは、神が創造したいかなるものについても真実ではないのですが、あなたが作り出してしまったもののためには最善の解決策です。

 In an impossible situation, you can develop your abilities to the point where they can get you out of it.
 ありえない状況において、あなたは自分の能力をその状況からあなたが自力で抜け出せる程度まで発達させることができます。

 You have a Guide to how to develop them, but you have no commander except yourself.
 あなたには、そのような能力をいかに発達させればよいか教えてくれる大いなるガイドがついています。しかし、あなたに命令を下す者はあなた自身を除いては誰もいません。

 This leaves you in charge of the Kingdom, with both a Guide to find it and a means to keep it.
 これは、王国を見出すためのガイドと王国を維持するための手段の両方とともに、あなたに王国が託されているということです。

 You have a model to follow who will strengthen your command, and never detract from it in any way.
 あなたには従うべきモデルがいます。彼は心を指揮するあなたの力を強めこそすれ、そうした力をどのようにも減ずるようなことは決してありません。

 You therefore retain the central place in your imagined enslavement, which in itself demonstrates that you are not enslaved.
 したがって、あなたは、自分が隷属状態に置かれていると想像していながらも、その状態の主役の座を維持しているのであり、このこと自体、実はあなたは隷属していないことを物語っています。



10. You are in an impossible situation only because you think it is possible to be in one.
 あなたがありえない状況の中にいるのは、ただそんな状況の中に自分がいることが可能だとあなたが思っているからでしかありません。

 You would be in an impossible situation if God showed you your perfection, and proved to you that you were wrong.
 もし神があなたの完全さをあなたに見せておきながら、そのうえで、あなたは間違っていたと証明したとすれば、それこそ、あなたはとうていありえない状況にいることになるでしょう。

 This would demonstrate that the perfect are inadequate to bring themselves to the awareness of their perfection, and thus side with the belief that those who have everything need help and are therefore helpless.
 このことは、完全である者が自分は完全だと自覚するためには、完全であるだけでは不十分であることを物語っており、したがって、自分たちがすべてを持っているというのに、自分は助けを必要としているがゆえに、自分は無力な存在なのだと信じてしまう余地があることを根拠づけます。

 This is the kind of "reasoning" in which the ego engages.
 これが、エゴが没頭する類の「論理的な思考」です。

 God, Who knows that His creations are perfect, does not affront them.
 神は、自らが創造したものたちは完全だと知っているので、自らの創造物たちを辱めるようなことはしません。

 This would be as impossible as the ego's notion that it has affronted Him.
 これは、エゴが神を辱めたという観念がありえないのと同様にありえないことでしょう。

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11. That is why the Holy Spirit never commands.
 この理由から、聖霊が命令することは決してありません。

 To command is to assume inequality, which the Holy Spirit demonstrates does not exist.
 命令することは、対等ではないことを前提としますが、そんな不平等が存在しないことこそ、聖霊が実証しようとすることなのです。

 Fidelity to premises is a law of mind, and everything God created is faithful to His laws.
 前提に対して忠実であることは心の法則であり、神が創造したものはすべて神の法に忠実です。

 Fidelity to other laws is also possible, however, not because the laws are true, but because you made them.
 しかしながら、ほかの法則に対して忠実であることもまた可能ではあります。ただし、その理由は、それらの法則が真実だからではなく、それらの法則を作り出したのがあなただからです。

 What would be gained if God proved to you that you have thought insanely?
 たとえ神があなたに対して、あなたが狂気に陥って思考してきたことを証明したところで何の益があるでしょうか。

 Can God lose His Own certainty?
 神が自らの確信を失うことなどできるでしょうか。

 I have frequently said that what you teach you are.
 私がしばしば述べてきたように、あなたは自分が教える通りのものになります。

 Would you have God teach you that you have sinned?
 あなたは、自分が罪を犯したのだと神に教えてもらいたいのでしょうか。

 If He confronted the self you made with the truth He created for you, what could you be but afraid?
 もし神が、あなたの作り出した自己に神があなたのために創造した真理を突きつけたなら、あなたはただ恐れることしかできないのではないでしょうか。

 You would doubt your right mind, which is the only place where you can find the sanity He gave you.
 あなたは自分の正しい心を疑うでしょうが、その正しい心こそ、神があなたに与えた正気を見出せる唯一の場なのです。



12. God does not teach.
 神は、教えることをしません。

 To teach is to imply a lack, which God knows is not there.
 教えることは不足していることを前提としますが、神は不足など存在しないと知っているからです。

 God is not conflicted.
 神が矛盾することはないのです。

 Teaching aims at change, but God created only the changeless.
 教えることは、変化することを目指します。しかし、神は変化しないものだけを創造しました。

 The separation was not a loss of perfection, but a failure in communication.
 分離とは、完全さを喪失することではなく、ただ完全さを満足に伝達し損ねることだったのです。

 A harsh and strident form of communication arose as the ego's voice.
 荒々しく耳障りなコミュニケーションの形態がエゴの声として生じました。

 It could not shatter the peace of God, but it could shatter yours.
 エゴの声には、神の平安を打ち砕くことはできませんでしたが、あなたの平安を粉々に打ち砕くことはできました。

 God did not blot it out, because to eradicate it would be to attack it.
 神は、そんなエゴの声を消し去ることはしませんでした。なぜなら、それを消去しようとすることは、それを攻撃することになってしまうからです。

 Being questioned, He did not question.
 エゴからの質問に対して、神は問い返すことはしませんでした。

 He merely gave the Answer.
 神はただ、大いなる答えを与えただけです。

 His Answer is your Teacher.
 神の大いなる答えこそ、あなたの大いなる教師である聖霊なのです。


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