T25-6 特別な役目

2014年10月09日
テキスト第25章(神の正義) 0

Love takes off masks that we fear we cannot live without and know we cannot live within.
愛は、それなしでは自分は生きていけないと私たちが恐れながらも、それをつけたままでは自分は真に生きることができないとわかっている仮面を取り去るのだ。

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James Baldwin
ジェームズ・ボールドウィン





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今回は、テキスト第二十五章から特別な役目という一節をご紹介します。


特別性は全否定すべき?

前章の第24章でも、さんざん特別性が叩かれてきたので、コースは特別性を全否定していると捉えてしまうこともあるかもしれません。

しかし、本節からもわかるように、コースは、特別性をエゴの観点から見たままでいちゃダメよとは言いますが、特別性を抹殺せよとは言いません。

コースが求めるのは、聖霊の知覚するように特別性を見て、各自の持ち味を活かしてお互いの救い主としての役目を果たすことです。

いつものように、聖霊はエゴの使う道具をその道具の持つ力を損なうことなく、目的を神聖さに変えることによって救済のための手段として役立てることができます。


特別な関係抜きには幸せな夢に到達できない

特別な関係も、聖霊に渡せば、神聖な関係に様変わりします。

特別な関係が変容して幸せな夢となりますT18-5 幸せな夢)。

つまり、特別な関係を全否定することは、コースの目標を阻害することになるわけです。



「He does not destroy it, nor snatch it away from you.
 聖霊は、特別な関係を壊さないし、あなたから突然取りあげたりもしません。

 The special relationship will remain, not as a source of pain and guilt, but as a source of joy and freedom.
 特別な関係は、苦痛や罪悪感の源としてではなく、喜びと解放の源として存続することになります。

 It will not be for you alone, for therein lay its misery.
 特別な関係は、あなたひとりだけのためのものではなくなります。なぜなら、あなたひとりだけのためのものにしておいたことが特別な関係を悲惨なものにしていたからです。」(T18-2 夢の基盤 6. )

ともすれば、幻想が幅を利かせて悪さしているのだから、世界を消し去る必要があるし、エゴを抹殺して消滅させる必要があると考えて、悪戦苦闘することになりがちです。


実在の不在に処するコースのスタンス

けれど、コースの発想は、エゴを取り締まる幻想警察になって、幻想刈りのパトロールをして、悪い芽を摘んで邪悪さをしらみつぶしに潰していくというスタンスではなく、間違った場所に置かれて光の当たらない側面ができて影ができているだけなので、正しく光が当たるように本来のふさわしい立ち位置に再配列して、影が生まれず本来の輝きを取り戻すようにさせるというスタンスです。

奇跡のコースは、本当に優しく慈しみ深い愛の教えです。

コースが世捨て人になることを求めているように感じたり、世界を幻として消滅させなければならないと教える厭世の書物に思えるようなときには、いったん立ち止まって、自分がコースを生嚙りして、その表現する言葉尻に惑わされて誤解しているのではないか冷静に顧みてみる必要があります。

神の子の役目は幸せであることだ(レッスン66「私の幸せと私の役目はひとつのものだ」)と教え、兄弟との関係の中で助け合うことが救いの公式だと教え(T12-2 神を思い出す方法)、幸せな学習者となるようにと教える(T14-2 喜んで学ぶ者)コースを学んでいるというのに、幸せに近づくどころか虚無的な気分になるなら、それはどこかで捉え違いをしているというほかありません。





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テキスト 第二十五章

VI. The Special Function
六 特別な役目



1. The grace of God rests gently on forgiving eyes, and everything they look on speaks of Him to the beholder.
 神の恵みは赦しに満ちた目に優しく注がれ、その目に映るものすべてが見る者に神を語ります。

 He can see no evil; nothing in the world to fear, and no one who is different from himself.
 彼にはいかなる害悪も見えず、世界の中に恐ろしいものは何も見えないし、彼自身と違う者はひとりも見えません。

 And as he loves them, so he looks upon himself with love and gentleness.
 そして、彼は自分と同じだとみなす者たちを愛するので、彼は自分自身のことも愛と優しさをもって見つめます。

 He would no more condemn himself for his mistakes than damn another.
 彼は、ほかの者を罰しようとすることもなければ、自分の間違いについて自分を咎めようともしません。

 He is not an arbiter of vengeance, nor a punisher of sin.
 彼は、復讐されるべき者を決定する者でもなければ、罪を処罰する者でもありません。

 The kindness of his sight rests on himself with all the tenderness it offers others.
 彼の眼差しの持つ思いやりは、自らがほかの者たちに差し延べるその優しさのすべてをこめて、彼自身にも注がれています。

 For he would only heal and only bless.
 というのは、彼はただ癒そうとし、ただ祝福しようとするだけだからです。

 And being in accord with what God wills, he has the power to heal and bless all those he looks on with the grace of God upon his sight.
 そして、神の意図することに調和しているので、彼は、その眼差しに注がれる神の恵みをもって見つめるあらゆるものを癒し、祝福する力を持っています。

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2. Eyes become used to darkness, and the light of brilliant day seems painful to the eyes grown long accustomed to the dim effects perceived at twilight.
 目は暗闇に慣れるようになるし、長い間薄明りの中で知覚されるぼんやりした像を見ることに慣れ親しんだ目には、明るく晴れ渡る日の陽射しも、苦痛に思えるものです。

 And they turn away from sunlight and the clarity it brings to what they look upon.
 だから、そのような目は、日光やその光に照らされて自分が目にするものがはっきりしてくるのを避けようとします。

 Dimness seems better; easier to see, and better recognized.
 薄暗さのほうがより心地よく、より見やすく、より見分けがつくように思えます。

 Somehow the vague and more obscure seems easier to look upon; less painful to the eyes than what is wholly clear and unambiguous.
 どういうわけか、曖昧でよりぼんやりしたもののほうが、楽に見えるように思えるし、完全に明瞭で曖昧さのないものを見るのに比べると、まだ目が痛まずに済むように思えます。

 Yet this is not what eyes are for, and who can say that he prefers the darkness and maintain he wants to see?
 しかし、こんなことは目の使いみちではないし、誰が闇を選んでおきながら、自分は見ることを望むと主張できるでしょうか。



3. The wish to see calls down the grace of God upon your eyes, and brings the gift of light that makes sight possible.
 見たいという願いが、あなたの目に神の恵みを呼び降ろし、真に見ることを可能にする光という贈り物をもたらしてくれます。

 Would you behold your brother?
 あなたには、自分の兄弟をよく見てみようという気はあるでしょうか。

 God is glad to have you look on him.
 神は喜んであなたに兄弟を見せてくれます。

 He does not will your savior be unrecognized by you.
 神は、あなたの救い主があなたに気づかれないままになることを意図していないからです。

 Nor does He will that he remain without the function that He gave to him.
 それに神は、神があなたの兄弟に授けたあなたを救うという役目を彼が果たさないままになることも意図していません。

 Let him no more be lonely, for the lonely ones are those who see no function in the world for them to fill; no place where they are needed, and no aim which only they can perfectly fulfill.
 これ以上、自分の救済者である兄弟に孤独な思いをさせないでください。なぜなら、孤独な者たちとは、この世界において自分たちが果たすべき役割を何も見出せない者たち、つまり、自分が必要とされる場所も、自分だけが完全に果たすことができる目的も見つけられずにいる者たちのことだからです。

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4. Such is the Holy Spirit's kind perception of specialness; His use of what you made, to heal instead of harm.
 このような捉え方が、特別であることについての聖霊の優しい知覚の仕方であり、あなたの作り出したものを、傷つけるためではなく癒すために用いる聖霊の方法です。

 To each He gives a special function in salvation he alone can fill; a part for only him.
 聖霊は一人ひとりに、救済においてその人だけが果たすことのできる特別な役目、ただ彼だけのための役目を与えます。

 Nor is the plan complete until he finds his special function, and fulfills the part assigned to him, to make himself complete within a world where incompletion rules.
 しかも、彼が自分の特別な役目を見出し、自分に与えられた役割を成し遂げ、不完全さが支配する世界の中で、自分自身を完全にするまでは、この計画は完了しません。



5. Here, where the laws of God do not prevail in perfect form, can he yet do one perfect thing and make one perfect choice.
 神の法が完璧な形で行き渡ることのないこの世界においてさえ、彼はなお、ひとつの完璧なことをなし、ひとつの完璧な選択をなすことができます。

 And by this act of special faithfulness to one perceived as other than himself, he learns the gift was given to himself, and so they must be one.
 そして、かつて自分自身とは別の存在であると知覚した相手に対して特別な信頼を寄せるというこの行為によって、その贈り物は彼自身に与えられていたのであり、それゆえに、自分とその相手はひとつであるに違いないと学びます。

 Forgiveness is the only function meaningful in time.
 赦すことは、時間の中で意味を持つ唯一の役目です。

 It is the means the Holy Spirit uses to translate specialness from sin into salvation.
 赦しこそ、特別性を罪から救済へと変換するために聖霊が使う手段です。

 Forgiveness is for all.
 赦しは、すべての者のためのものです。

 But when it rests on all it is complete, and every function of this world completed with it.
 しかし、すべての者が赦されたとき、赦しは完了し、それに伴って、この世界のすべての役割も完了したことになります。

 Then is time no more.
 そのあとは、もはや時間は存在しなくなります。

 Yet while in time, there is still much to do.
 とはいえ、時間の中にいる間は、まだたくさんなすべきことがあります。

 And each must do what is allotted him, for on his part does all the plan depend.
 だから、各人は、自分に割り当てられた役割を果たさなければなりません。というのも、各自の役割に計画全体がかかっているからです。

 He has a special part in time for so he chose, and choosing it, he made it for himself.
 彼には時間の中で担う特別な役割があります。というのは、彼が自らそれを選んだのだし、彼はそれを選ぶことによって、それを自分自身のものにしたからです。

 His wish was not denied but changed in form, to let it serve his brother and himself, and thus become a means to save instead of lose.
 彼の願いは、拒まれたのではなく、形を変えられたのです。それは、その願いを失うためでなく、その願いを彼の兄弟と彼自身のために役立たせることで、救いの手段にするためなのです。

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6. Salvation is no more than a reminder this world is not your home.
 救いとは、この世界はあなたの故郷ではないと思い出させることにほかなりません。

 Its laws are not imposed on you, its values are not yours.
 この世界の法則は、あなたに押しつけられているわけではないし、この世界の価値観はあなたの価値観であるわけでもありません。

 And nothing that you think you see in it is really there at all.
 そして、あなたがこの世界で自分が見ていると思っているものは何ひとつ、実際にはまったく存在しないのです。

 This is seen and understood as each one takes his part in its undoing, as he did in making it.
 この世界を作り出した際に各自が自分の役割を果たしたのと同じように、世界を取り消す際にも各自が自分の役割を担うなら、実際には世界に見ているものは存在しないということがよくわかってきて、理解できるようになります。

 He has the means for either, as he always did.
 つねにそうであったように、誰もが、世界を作り出すためにも取り消すためにも、どちらにも使うことのできる手段を持っているのです。

 The specialness he chose to hurt himself did God appoint to be the means for his salvation, from the very instant that the choice was made.
 彼は自分自身を傷つけるために特別性を選びましたが、彼がその選択をなしたまさにその瞬間から、神は、特別性を彼を救うための手段になるようにと定めてくれたのです。

 His special sin was made his special grace.
 彼の特別な罪は、彼にとって特別な神の恵みとされました。

 His special hate became his special love.
 彼の特別な憎しみは、彼の特別な愛となったのです。



7. The Holy Spirit needs your special function, that His may be fulfilled.
 聖霊は、自らの役割を果たすために、あなたの特別な働きを必要としています。

 Think not you lack a special value here.
 この世界で自分には特別な価値がないなどと思ってはなりません。

 You wanted it, and it is given you.
 あなたがそれを望んだので、あなたには特別な価値が与えられています。

 All that you made can serve salvation easily and well.
 あなたが作り出したものはすべて、救済のために、簡単に、そして十分に役立てることができます。

 The Son of God can make no choice the Holy Spirit cannot employ on his behalf, and not against himself.
 神の子は、聖霊が神の子のために使えないような選択をすることはできないし、自分自身に不利になる選択をすることもできません。

 Only in darkness does your specialness appear to be attack.
 あなたが特別であることが攻撃であるように見えるのは、ただ闇の中においてだけです。

 In light, you see it as your special function in the plan to save the Son of God from all attack, and let him understand that he is safe, as he has always been, and will remain in time and in eternity alike.
 光の中では、あなたにも、自分の特別さがあらゆる攻撃から神の子を救うための計画の中で自分が担う特別な役目なのだとわかります。その特別な役目とは、神の子に、今までつねにそうであったように彼は安全だし、時間の中でも永遠の世界でも同じように安全であり続けることを理解させることです。

 This is the function given you for your brother.
 これこそが、自分の兄弟のために、あなたに与えられた役目です。

 Take it gently, then, from your brother's hand, and let salvation be perfectly fulfilled in you.
 ゆえに、自分の役目をそっと兄弟の手から受け取って、あなたの中で救いを完全に成就させてください。

 Do this one thing, that everything be given you.
 このひとつのことをなせば、すべてがあなたに与えられます。


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It’s not how much we give, but how much love we put into giving. – Mother Teresa

 松山 健 Matsuyama Ken
この記事を書いた人:  松山 健 Matsuyama Ken

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