T26-9 キリストと神の到来

2015年04月06日
テキスト第26章(移行) 0

Ideas leave not their source.
想念はその源から去ることはない。

If this be true, how can you be apart from God?
もしこの命題が真実であるなら、あなたが神から分離することなどありえない。

How could you walk the world alone and separate from your Source?
あなたが自分の大いなる源から分離して孤独に世界を歩むことなどありえない。



Gary R. Renard, The Disappearance of the Universe: Straight Talk About Illusions
ゲイリー・レナード





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今回はテキスト第二十六章から「彼らがやってきたのだから」という一節をご紹介します。


神と子の来臨

「彼ら」とは、キリストと神のことです。

本当の私たちは神の子であり、神の子キリストはずっと神とともにいるままであり、神とキリストが天国からありもしない幻想世界に出向くということはありません。

また、三位一体を構成する神と子はひとつなのだし、私たちは本当は神の子なのだとすれば、神の子キリストと神は、本当の私たちとひとつなので、彼らが私たちの許に「やってくる」というのは、変な表現にも思えます。

けれど、私たちは、神の子が分離幻想を抱いて神とキリストから自分を切り離したと信じ、自己を無数に分裂させた結果生じた分裂人格、虚像であり、この夢物語の架空の登場人物です。

つまり、人間というアバターである私たちは、真理そのものである神の子とは別の幻想で(想念は源から分離することはできないとはいえ、思考者と想念は同一ではないので、神の子が抱く観念、妄想である偽りの自己像は、神の子自身とは別)、幻想と真理は結びつくことができないので、私たちアバターそのものは、神の子とひとつになることはできません。

私たちにできるのは、私たち人間という「自分」が実在すると錯覚することによって神の子に憑りついて神の子を束縛するのをやめて、神の子を幽閉状態から解放することです。

したがって、幻想であるアバターとしての私たちからすると、贖罪の成就によって、キリストと神が私たちの許へと訪れてくれたように受け止めることになります。


実在の不在=隔たり=影

前節では、時空という幻想は、私たちが兄弟とひとつになることをまだ受け入れられないために設けている隔たりだということが語られました。

本節では、この隔たりを別の観点から「影」と表現しています。



2.「Forget not that a shadow held between your brother and yourself obscures the face of Christ and memory of God.
 あなたの兄弟とあなた自身の間に保たれている影が、キリストの顔と神の記憶を隠していることを忘れてはなりません。

 And would you trade Them for an ancient hate?
 それとも、あなたはキリストと神を、古来の憎しみと交換したいというのでしょうか。」

「影」は、天国にある実在がこの世界に反映される際に生じた実在の不在に名前を付けたものでした。


実在の不在が形をなす影は、赦しによって、その本質通り、無として看過することで消え去る

実在する愛であるキリストと神の不在状態が恐怖、憎悪と呼ばれることで、あたかも愛に対抗する力を持つように信じられています。

「6. The holiest of all the spots on earth is where an ancient hatred has become a present love.
 地上のあらゆる場所の中でも最も神聖な場所は、太古の憎しみが現在の愛になった場所です。」

憎悪はまさに影であり、本当はひとつである自分と他者との間に隔たりを意識することで、光である本当の自分が作り出す闇です。

この影がキリストの顔と神の記憶を覆い隠しています。

ですから、なすべきことは、影に惑わされて、本当は自分である兄弟を攻撃することではなく、他者との隔たりを乗り越えて本当は自他がひとつであることを意識することで正しく光が当たって影ができないようにして、他者が兄弟であり自分自身もであるキリストだと気づくことです。



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テキスト第二十六章

IX. For They Have Come
九 彼らがやってきたのだから



1. Think but how holy you must be from whom the Voice for God calls lovingly unto your brother, that you may awake in him the Voice that answers to your call!
 自分がどんなに神聖な存在に違いないか考えてみてください。というのも、あなたを介することで、神の大いなる声は愛をこめてあなたの兄弟たちに呼びかけて、あなたの呼びかけに答える大いなる声をあなたが兄弟たちの中に呼び起こせるようにできるからです。

 And think how holy he must be when in him sleeps your own salvation, with his freedom joined!
 そして、あなたの救済が兄弟の解放とひとつに結合して兄弟の中に眠っているというのですから、自分の兄弟がいかに神聖な存在に違いないか考えてみてください。

 However much you wish he be condemned, God is in him.
 あなたが自分の兄弟が糾弾されることをどれほど強く願おうとも、神は彼の中にいます。

 And never will you know He is in you as well while you attack His chosen home, and battle with His host.
 だから、あなたが神の選んだ住処を攻撃して神を宿す者と争っているかぎり、あなたには、神が同じように自分の中にもいることがずっとわからないままでしょう。

 Regard him gently.
 優しい気持ちで自分の兄弟を思いやってください。

 Look with loving eyes on him who carries Christ within him, that you may behold his glory and rejoice that Heaven is not separate from you.
 自らの内にキリストを携えて連れてきてくれる兄弟を愛に満ちた眼差しで眺めてください。そうすれば、あなたは彼の栄光を目にして、天国が自分から切り離されているわけではないとわかって歓喜するでしょう。

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2. Is it too much to ask a little trust for him who carries Christ to you, that you may be forgiven all your sins, and left without a single one you cherish still?
 あなたのすべての罪が赦され、あなたがたったひとつの罪も抱き続けることなく去ることができるように、あなたの許にキリストを連れてきてくれる兄弟のことをほんの少しだけ信用してほしいというのは無理な注文でしょうか。

 Forget not that a shadow held between your brother and yourself obscures the face of Christ and memory of God.
 兄弟とあなた自身の間に保たれている影が、キリストの顔と神の記憶を隠していることを忘れてはなりません。

 And would you trade Them for an ancient hate?
 それとも、あなたはキリストと神を、古来の憎しみと交換したいというのでしょうか。

 The ground whereon you stand is holy ground because of Them Who, standing there with you, have blessed it with Their innocence and peace.
 あなたが立っている場所は、そこにキリストと神があなたと一緒に立って、彼らの潔白さと平安で祝福してくれているがゆえに、聖なる場所なのです。



3. The blood of hatred fades to let the grass grow green again, and let the flowers be all white and sparkling in the summer sun.
 憎悪の血は次第に消え去り、草原が再び青々と生い茂り、花々はみな、夏の日差しの中で純白に輝きます。

 What was a place of death has now become a living temple in a world of light.
 かつて死の領地であったところが、いまや光の世界の中の生命に満ち溢れる神殿となったのです。

 Because of Them.
 それはキリストと神のお陰です。

 It is Their Presence which has lifted holiness again to take its ancient place upon an ancient throne.
 キリストと神の臨在が、神聖さを再び高みに持ち上げて、その古来の持ち場である太古からの玉座に就かせたのです。

 Because of Them have miracles sprung up as grass and flowers on the barren ground that hate had scorched and rendered desolate.
 彼らが到来したお陰で、憎悪が焼き焦がして荒廃させていた不毛の地にはもう、あまたの奇跡が草花のように勢いよく芽吹いています。

 What hate has wrought have They undone.
 憎しみがもたらしてきたものを、キリストと神が消し去ってくれたからです。

 And now you stand on ground so holy Heaven leans to join with it, and make it like itself.
 そして、いまやあなたはあまりに神聖な大地に立っているので、天国がその聖地とひとつに結ばれるために身を屈め、その聖地を天国と同じものへと変えてくれます。

 The shadow of an ancient hate has gone, and all the blight and withering have passed forever from the land where They have come.
 太古の憎しみの影は消え去り、キリストと神がすでに到来した聖地からは、枯れ萎れたものはすべて永遠に去ってしまったのです。

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4. What is a hundred or a thousand years to Them, or tens of thousands?
 キリストと神にとって、百年や千年、それどころか数万年ですら、それがいったい何だというのでしょうか。

 When They come, time's purpose is fulfilled.
 キリストと神が到来しさえすれば、時間の目的は果ててしまうからです。

 What never was passes to nothingness when They have come.
 キリストと神が訪れたら、一度も存在したことのなかったものは無に帰します。

 What hatred claimed is given up to love, and freedom lights up every living thing and lifts it into Heaven, where the lights grow ever brighter as each one comes home.
 憎しみがわがものと主張していたものは愛に明け渡されます。そして、自由が生きとし生けるものを残らず照らし出して、天国の中へと引き上げます。天国に、ひとり、またひとりと神の子が帰還するにつれて、天国の光はよりいっそう輝きを増してゆきます。

 The incomplete is made complete again, and Heaven's joy has been increased because what is its own has been restored to it.
 不完全なものが再び完全なものにされます。そして、天国に属するものが天国へと戻ってくるので、天国の喜びはますます大きくなってゆきます。

 The bloodied earth is cleansed, and the insane have shed their garments of insanity to join Them on the ground whereon you stand.
 血に染まった大地は洗い清められ、正気を失った者たちは、あなたが立っている大地の上でキリストと神に合流するために狂気の衣を脱ぎ捨てます。



5. Heaven is grateful for this gift of what has been withheld so long.
 本当に長い間に亘って与えずにおかれていたこの贈り物を得て、天国は感謝に満ち溢れます。

 For They have come to gather in Their Own.
 というのも、キリストと神が自分たちに属するものを収穫するために到来したからです。

 What has been locked is opened; what was held apart from light is given up, that light may shine on it and leave no space nor distance lingering between the light of Heaven and the world.
 閉ざされていたものが開け放たれたのです。光から遠ざけられていたものが解き放たれたので、光がそれを照らせるようになり、もう天国の光とこの世界との間に、いかなる空間も距離も残されることはありません。

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6. The holiest of all the spots on earth is where an ancient hatred has become a present love.
 地上のあらゆる場所の中でも最も神聖な場所は、太古の憎しみが現在の愛になった場所です。

 And They come quickly to the living temple, where a home for Them has been set up.
 そして、キリストと神は、彼らの住まいとして建てられた生気の漲る神殿に速やかに訪れます。

 There is no place in Heaven holier.
 天国にも、これほど神聖な場所はありません。

 And They have come to dwell within the temple offered Them, to be Their resting place as well as yours.
 そして、キリストと神は、あなたの憩いの場であるとともに彼らの安息の場でもある彼らに捧げられた神殿に住むためにやってきたのです。

 What hatred has released to love becomes the brightest light in Heaven's radiance.
 憎悪が愛へと解放したものは、天国の輝きの中でも最も明るい光となります。

 And all the lights in Heaven brighter grow, in gratitude for what has been restored.
 そして、天国のすべての光は、回復されたものに感謝してよりいっそう輝きを増してゆきます



7. Around you angels hover lovingly, to keep away all darkened thoughts of sin, and keep the light where it has entered in.
 あなたの周りを天使たちが愛に満ちて羽ばたきながら、罪という暗い想念のすべてを遠ざけて、光が入りこんだ場所に光が留まれるようにしてくれます。

 Your footprints lighten up the world, for where you walk forgiveness gladly goes with you.
 あなたの歩むところには赦しが喜んで一緒について行くので、あなたの足跡は世界を明るく照らします。

 No one on earth but offers thanks to one who has restored his home, and sheltered him from bitter winter and the freezing cold.
 この地上にいる誰もが、自分の家を修復してくれて、自分を厳しい冬の凍てつく寒さから庇護してくれた者には必ず感謝を捧げます。

 And shall the Lord of Heaven and His Son give less in gratitude for so much more?
 そうだとすれば、それにはるかに優ることに対して、天国の主とその大いなる子が、それに満たない感謝しか与えないことがありうるでしょうか。

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8. Now is the temple of the living God rebuilt as host again to Him by Whom it was created.
 今こそ、生ける神の神殿は、その神殿を創造してくれた神を再び宿すために再建されます。

 Where He dwells, His Son dwells with Him, never separate.
 神が住まうところに、神の子も決して別れることなく、神と一緒に留まります。

 And They give thanks that They are welcome made at last.
 そして、神と神の子キリストは、ついに自分たちが歓迎してもらえるようになったことに感謝を捧げます。

 Where stood a cross stands now the risen Christ, and ancient scars are healed within His sight.
 かつて十字架が立っていた場所には、今、復活したキリストが立っています。そして、キリストに見つめられることで古来の傷跡は癒されます。

 An ancient miracle has come to bless and to replace an ancient enmity that came to kill.
 殺すために訪れていた古来の怨恨を祝福し、それに取って代わるために、太古の奇跡が到来したのです。

 In gentle gratitude do God the Father and the Son return to what is Theirs, and will forever be.
 穏やかな感謝を抱きながら、父なる神とその大いなる子は、彼らのものであり、永遠に彼らのものであり続けるものへと戻ります。

 Now is the Holy Spirit's purpose done.
 今こそ、聖霊の目的が果たされたのです。

 For They have come!
 なぜなら、神と子が到来したからです。

 For They have come at last!
 ついに、彼らがやってきたからです。


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It’s not how much we give, but how much love we put into giving. – Mother Teresa

 松山 健 Matsuyama Ken
この記事を書いた人:  松山 健 Matsuyama Ken

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