P2-V 癒しのプロセス
To trust God in the light is nothing, but to trust him in the dark, that is faith.
光の中でなら神を信頼できても当然だ。しかし、闇の中で神を信頼するなら、それこそ信仰と呼べる。

Charles Spurgeon
チャールズ・スポルジョン

心理療法から「癒しのプロセス」をご紹介します。
自分は世界と分離し、世界には外敵が自分に襲いかかろうと待ちかまえている
この世界での教育によって、私たちは、世界は危険に満ちた場所で、自分が広大な世界から切り離されたちっぽけな生き物で、外部には自分に襲い掛かろうと無数の害悪や敵が待ち受けているという世界観と自己認識を刷り込まれます。
この世界観と自己認識でいるかぎり、これとは逆の世界観と自己認識、つまり、自分と世界は分離しておらず、自分の外はなく、害悪や敵は存在していないので、世界は安全だということを、たとえそれが真理だとしても、直ちには受け入れることはできません。
分離幻想に汚染された心には真理は脅威となる
この真理は愛そのものなので、偽りの状態に対して、愛に満ちた手を差し延べて分離を解消してひとつに結ばれようとしますが、分離によって自分は安全に守られているという虚偽を信じ込んでいる者には、愛の呼び声が自分に対する攻撃にしか思えません。
そのままでは、彼は救済は自分を消滅させる悪夢であり、愛は恐れに満ちた脅威であり、無防備であることは自滅であるという、それまでの誤認識をさらに強めることになります。
無防備であることが真の強さであることを教わらねばならない
そこで、まず彼は真理を教わらなければなりません。
とりわけ、真の強さは攻撃ではなく無防備であることにこそあるのだと学ばなければなりません。
これを学ぶためには、自分でなんとかしようとするのをやめて、自分が無力であることを認めて兄弟に助けを求めることが必要です。
私たちは不完全な状態から完全な状態に達しなければならないわけではありません。

人の子→神の子
「2. Thus does the son of man become the Son of God.
こうして、人の子は神の子となります。
It is not really a change; it is a change of mind.
それは実際に、何かが変わることではありません。それは心の変化です。」(M12 キリストの言葉(世界を救うために必要な教師の数))
このように、コースには、人の子が神の子になるという表現を用いる箇所もありますが、「それは実際に、何かが変わることではありません。それは心の変化です。」というように、アイデンティティーのシフトを意味し、人の子がもはや自分のことを自己とはみなさなくなることを意味します(レッスン250「私が自分自身を限られた存在とみなしませんように」のエッセイを参考にしてください)。
人の子が神の子に変身するわけではなく、神の子が人の子になる夢を見ていた状態から赦しによって癒される
私たちが進化して神の子になるわけではなく、もともと完全な神の子が私たち人の子という不完全な存在になりきっていただけです。
真理はもともと神の子のことであり、神の子とともにあるので、神の子が自分はたくさんの人の子だと妄想しているかぎり、神の子は自分自身である真理を拒絶して返上している状態にあるので、真理は神の子が自分だと空想している人の子を通して別の人の子に届く形でしか神の子の許に到達できません。
7.「It is not our perfection that is asked in our attempts to heal.
私たちが癒そうと試みる際に求められるのは、私たちが完璧になることではありません。
We are deceived already, if we think there is a need of healing.
もし癒しが必要だと私たちが考えているなら、私たちはすでに思い違いしているのです。
And the truth will come to us only through one who seems to share our dream of sickness.
だから、真理は、私たちと同じように病気という夢を見ているように思える誰かを通してのみ、私たちの許に訪れることになります。
Let us help him to forgive himself for all the trespasses with which he would condemn himself without a cause.
私たちで、その人が原因もないのに自分自身を咎めるために用いてきた罪科のすべてについて、彼が自分を赦せるように彼を助けてあげましょう。
His healing is our own.
彼が癒されることは私たち自身が癒されることだからです。」
救いの公式
患者として助けを求めることは神を呼ぶことであり、セラピストに神からの贈り物を届けることです。
神の子を見つけて神の下へと帰る方法は、助けを求める兄弟の呼び声に答えることです。
8.「Hear a brother call for help and answer him.
兄弟の助けを求める呼びかけを聞いて、彼に答えてください。
It will be God to Whom you answer, for you called on Him.
あなたは神に答えることになるでしょう。というのは、あなたが神を呼んだからです。
There is no other way to hear His Voice.
神の大いなる声を聞くための方法は、これしかありません。
There is no other way to seek His Son.
神の子を探すための方法は、これしかありません。
There is no other way to find your Self.
あなたの真の自己を見つける方法は、これしかありません。」
ふたりが癒しのために結びついたところには神がいます。

2. V. The Process of Healing
癒しのプロセス
1. While truth is simple, it must still be taught to those who have already lost their way in endless mazes of complexity.
真理は単純なものです。とはいえ、すでに複雑さという出口のない迷宮の中に迷いこんで自分の道を見失ってしまった者たちにとっては、まだ真理はこれから教わるべきものです。
This is the great illusion.
この複雑さという無限の迷宮は、大いなる幻想です。
In its wake comes the inevitable belief that, to be safe, one must control the unknown.
この幻想に引き続いて、安全であるためには、人は未知のものをコントロールしなければならない、という信念が不可避的に生じます。
This strange belief relies on certain steps which never reach to consciousness.
この奇妙な信念は、決して意識に届かないあるステップに基盤を置いています。
First, it is ushered in by the belief that there are forces to be overcome to be alive at all.
まず、とにかく生きているために克服すべき多くの勢力が存在するという信念が先立ちます。
And next, it seems as if these forces can be held at bay only by an inflated sense of self that holds in darkness what is truly felt, and seeks to raise illusions to the light.
そして次に、これらの勢力は肥大化した自己の意識によってのみ寄せつけずにおけるように思えます。この肥大した自意識は本当は感じていることを闇の中に保って、幻想に光が当たるようにします。
2. Let us remember that the ones who come to us for help are bitterly afraid.
助けを求めて私たちの許に訪れる者たちはひどく怯えていることを忘れないようにしましょう。
What they believe will help can only harm; what they believe will harm alone can help.
彼らが助けになると信じているものはただ害になるだけであり、彼らが害になると信じているものだけが助けになります。
Progress becomes impossible until the patient is persuaded to reverse his twisted way of looking at the world; his twisted way of looking at himself.
患者が納得して自分の倒錯した世界観、つまり自らの倒錯した自己認識を逆転させるようになるまでは、前に進むのは不可能です。
The truth is simple.
真理は単純です。
Yet it must be taught to those who think it will endanger them.
しかし、真理が自らを脅かすものと思いこんでいる者たちは、真理を教わる必要があります。
It must be taught to those who will attack because they feel endangered, and to those who need the lesson of defenselessness above all else, to show them what is strength.
自分が危険にさらされていると感じるがゆえに攻撃しようとする者たち、すなわち、何にもまして無防備であるべきことを学ぶ必要がある者たちは、真理を教わって、自らに真の強さが何なのか示してもらわなければなりません。
3. If this world were ideal, there could perhaps be ideal therapy.
もしこの世界が理想的なものであったとしたら、おそらく理想的な治療法も存在しえたでしょう。
And yet it would be useless in an ideal state.
もっとも、世界が理想的な状況にあったなら、治療法など無用のはずです。
We speak of ideal teaching in a world in which the perfect teacher could not long remain; the perfect psychotherapist is but a glimmer of a thought not yet conceived.
私たちは、完璧な教師が長く留まることのできない世界における理想的な教えについて語っています。この世界では完璧な心理セラピストはまだ想像もつかない思考のかすかな煌めきでしかありません。
But still we speak of what can yet be done in helping the insane within the bounds of the attainable.
それでもなお、私たちは、狂気の者を助けるために達成しうる限界の中でなお、なしうることについて語っているのです。
While they are sick, they can and must be helped.
彼らが病んでいるかぎり、彼らは助けてもらうことができるし、助けてもらう必要があります。
No more than that is asked of psychotherapy; no less than all he has to give is worthy of the therapist.
心理療法には、それ以上のことは求められていません。セラピストが与えるために持っているすべてに満たないものは彼にふさわしくありません。
For God Himself holds out his brother as his savior from the world.
というのも、セラピストを世界から救う救い主として、彼の兄弟を神自身が差し延べてくれているからです。
4. Healing is holy.
癒しは神聖なものです。
Nothing in the world is holier than helping one who asks for help.
助けを求める者を助けてあげるほど神聖なことは、この世界でほかに何もありません。
And two come very close to God in this attempt, however limited, however lacking in sincerity.
そして、どんなに制限されたものであれ、どんなに真摯さに欠けていたとしても、この試みの中で、ふたりは神に大いに接近します。
Where two have joined for healing, God is there.
ふたりが癒しのために結びついたところには、神が在ります。
And He has guaranteed that He will hear and answer them in truth.
そして、神が真の意味で彼らの頼みを聞き入れて答えてくれることを、神は保証してくれています。
They can be sure that healing is a process He directs, because it is according to His Will.
彼らは、癒しは神が導くプロセスだと確信できます。なぜなら、癒しのプロセスは神の大いなる意志に従うものだからです。
We have His Word to guide us, as we try to help our brothers.
私たちが自分の兄弟たちを助けようとするに際して、私たちには自らを導く神の大いなる言葉があります。
Let us not forget that we are helpless of ourselves, and lean upon a strength beyond our little scope for what to teach as well as what to learn.
私たちは、自分だけでは無力だということを忘れないようにしましょう。そして、何を学ぶかだけでなく、何を教えるかについても、自分たちの狭い了見の遠く及ばない力に頼ることにしましょう。
5. A brother seeking aid can bring us gifts beyond the heights perceived in any dream.
助けを求めている兄弟は、どんな夢の中で知覚される高みも及ばないような贈り物を私たちにもたらすことができます。
He offers us salvation, for he comes to us as Christ and Savior.
彼は私たちに救済を差し延べてくれているのです。というのも、彼は、救い主キリストとして私たちの許へとやってくるからです。
What he asks is asked by God through him.
彼が求めるものは、彼を通じて神が求めているものです。
And what we do for him becomes the gift we give to God.
だから、私たちが彼のためになすことは、私たちが神に捧げる贈り物となります。
The sacred calling of God's holy Son for help in his perceived distress can be but answered by his Father.
自らが知覚する苦境の中で助けを求める神の聖なる子の神聖な呼び声に応えることができるのは、ただ彼の大いなる父だけです。
Yet He needs a voice through which to speak His holy Word; a hand to reach His Son and touch his heart.
しかし、父なる神は、自らの神聖な言葉を語るための声と、わが子に差し延べてわが子の心に触れるための手を必要としています。
In such a process, who could not be healed?
そのようなプロセスにおいて、誰が癒されずにいられるでしょうか。
This holy interaction is the plan of God Himself, by which His Son is saved.
この神聖な交流こそが神の子を救うための神自身の計画です。
6. For two have joined.
ふたりがひとつに結ばれたのです。
And now God's promises are kept by Him.
だから、今こそ、神の約束が神によって果たされます。
The limits laid on both the patient and the therapist will count as nothing, for the healing has begun.
患者とセラピストの双方に課せられた制限は、ないに等しくなります。というのも、癒しが始まったからです。
What they must start their Father will complete.
彼らが始めなければならないことは、彼らの父なる神が完了してくれるでしょう。
For He has never asked for more than just the smallest willingness, the least advance, the tiniest of whispers of His Name.
というのも、神は決して、ほんの最小限の意欲、最もささやかな進歩、とても小さな声で神の名を囁くこと以上は求めてはいないからです。
To ask for help, whatever form it takes, is but to call on Him.
それがどのような形をとるにせよ、助けを求めることは、ただ神への呼びかけにほかなりません。
And He will send His Answer through the therapist who best can serve His Son in all his present needs.
そして、神は、神の子が現在必要としているすべてについて最も役立つことのできるセラピストを通じて、自らの大いなる答えを送ってくれるでしょう。
Perhaps the answer does not seem to be a gift from Heaven.
もしかしたら、その答えは天国からの答えであるようには見えないかもしれません。
It may even seem to be a worsening and not a help.
それは、助けにならないどころか、さらに状況を悪化させるものに見えることすらあるかもしれません。
Yet let the outcome not be judged by us.
それでも、私たちはその結果を自分で裁かないようにしましょう。
7. Somewhere all gifts of God must be received.
どこかで必ず神の贈り物はすべて受け取られることになります。
In time no effort can be made in vain.
時間の中では、どのような努力も無駄になることはありえません。
It is not our perfection that is asked in our attempts to heal.
私たちが癒そうと試みる際に求められるのは、私たちが完璧になることではありません。
We are deceived already, if we think there is a need of healing.
もし癒しが必要だと私たちが考えているなら、私たちはすでに思い違いしているのです。
And the truth will come to us only through one who seems to share our dream of sickness.
だから、真理は、私たちと同じように病気という夢を見ているように思える誰かを通してのみ、私たちの許に訪れることになります。
Let us help him to forgive himself for all the trespasses with which he would condemn himself without a cause.
私たちで、その人が原因もないのに自分自身を咎めるために用いてきた罪科のすべてについて、彼が自分を赦せるように彼を助けてあげましょう。
His healing is our own.
彼が癒されることは私たち自身が癒されることだからです。
And as we see the sinlessness in him come shining through the veil of guilt that shrouds the Son of God, we will behold in him the face of Christ, and understand that it is but our own.
そして、私たちが神の子を包みこむ罪悪感のヴェールを通して彼の中の潔白さが輝き出すのを見るとき、私たちは彼の中にキリストの顔を見て、それが自分自身の顔にほかならないと理解するでしょう。
8. Let us stand silently before God's Will, and do what it has chosen that we do.
私たちで、神の大いなる意志を前に静かに立ち、その意志が私たちがなすべきこととして選んだことをなしましょう。
There is one way alone by which we come to where all dreams began.
すべての夢が始まった場所に私たちが訪れるための道はたったひとつだけです。
And it is there that we will lay them down, to come away in peace forever.
私たちはそこですべての夢を手放して、平安のうちに永遠にそこから立ち去ります。
Hear a brother call for help and answer him.
兄弟の助けを求める呼びかけを聞いて、彼に答えてください。
It will be God to Whom you answer, for you called on Him.
あなたは神に答えることになるでしょう。というのは、あなたが神を呼んだからです。
There is no other way to hear His Voice.
神の大いなる声を聞くための方法は、これしかありません。
There is no other way to seek His Son.
神の子を探すための方法は、これしかありません。
There is no other way to find your Self.
あなたの真の自己を見つける方法は、これしかありません。
Holy is healing, for the Son of God returns to Heaven through its kind embrace.
癒しは神聖なものです。というのも、癒しに優しく包みこまれることを通して神の子は天国へと帰還するからです。
For healing tells him, in the Voice for God, that all his sins have been forgiven him.
それは、神を代弁する大いなる声の中で、癒しは彼に、彼のすべての罪は赦されていると告げるからです。
