レッスン25「私には、物事が何のためにあるのかわからない」
神秘学徒は特定の事象が何を意味しているか、あれこれ考えることに終始してしまってはならない。・・・事物が何を意味するかを思弁的な悟性の力で決定しようとしてはならない。事物そのものに語らせねばならない。」

ルドルフ・シュタイナー(「いかにして超感覚的世界の認識を獲得するか」より)
思い煩うことはない。人生に意味なんてないのだから。

サマセット・モーム
Learn to get in touch with the silence within yourself, and know that everything in life has purpose.
自分自身の中の静寂に触れていることを学んでください。そうして、人生で起こるすべてのことには目的があると知りなさい。
There are no mistakes, no coincidences, all events are blessings given to us to learn from.
間違いや偶然というものはひとつもないのであって、あらゆる出来事は私たちに学ぶ機会を与えてくれる祝福なのです。

Elisabeth Kubler-Ross.
エリザベス・キューブラー・ロス

レッスン25です。
今日のテーマは「私には、物事が何のためにあるのかわからない」です。
昨日のレッスンの私たちは自分にとっての最善の利益がわかっていないというテーマの続きです。
個人的な利害の観点で視界が歪み曇るために真実が見えなくなる
私たちは、現在のところ、エゴの観点から私たちが世界に割り当てている「個人的な」利益を図ることが物事が存在する意味だと考えています。
そして、この考えのせいで、私たちには、世界や世界の中の物事が何のためにあるのかわからなくなってしまっています。
そこで、自分がエゴと一体化してしまっているせいで、このエゴの観点を取り入れてしまっていることに気づき、世界の一切は自分自身の最善の利益のためにあるということに気づく必要があります。

物事の表面的な意味と本質的な機能を考察する
今日のレッスンの意味をよく理解するうえで、物事の表面的な意味(電話が遠方の人と通話するため)を超えて、何のためにその物事があるのか(何のためにその人と連絡を取ろうとするのか)を考察することが有益だといいます。
昨日の、はたらく細胞の観点でいうなら、私たちが「自分」として捉えるのは、人体内での一細胞、世界の中で自分だと思っている一人間、エゴ・身体というアバターです。
この観点から眺めるかぎり、足の小指の細胞にとっては、脳が繁栄しようが眼球が没落しようが自分とは遠くかけ離れた「お上」のお偉いさんたちのいる「雲の上の世界」の出来事だし、赤血球にとっては、自分が酸素の配達に訪問することがあるかもしれない客先ではあっても、自分とは「住む世界の違う」人たちの問題であって自分には関わりのないことです。
私たちも、エゴに従うかぎり、個人としての自分や家族や友人さえ安全で裕福に暮らせるなら、ほかの国や自分の知らない他者がどれだけ不幸になろうと関係ないと思い、むしろ、他者の不幸をネタに自分が優位に立ったような錯覚を覚えて安心したり、はては他者は自分たちが幸せになるよう犠牲を払うために存在するとすら考えたりします。
エゴが錯覚で本当の自分はアバターでないとしたら根本的な生き方の変更を迫られることになる
しかし、これがエゴは錯覚で神の子が本当の自分だとすれば、すべては本当の自分である神の子のために存在するのであり、それまで自分だと信じていた小さな自己も、自分の狭い了見で自分を満たすことではなく、万物の一部として神の子のために役立つことが本当の幸せになるということになります。
これが本当だとしたら、人間が自分だと思っている私たちにとっては、根本的に生き方の変更を迫られることになります。
なにしろ、狂気とも言うべき大きな勘違いをして、本当の自分を傷つけるような生き方をしてきたことがわかるからです。
けれど、新しい生き方では、人生に虚しさを覚えて絶望するということが不可能になるはずです。
自分の敵とみなしていた人たちが従来通り、自分のことを敵視したままであろうが、自分を好きになってくれようがくれまいが、そんなことは関係ありません。
自分の敵だとみなしたり、自分とは無関係のどうでもよい存在とみなしていた自分の愛着するごく狭いサークルの外の無数の人々や生き物たち、世界そのものが実は自分なわけだからです。

Workbook Lesson 25
I do not know what anything is for.
私には、物事が何のためにあるのかわからない。
I do not know what anything is for.
私には、物事が何のためにあるのかわからない。
1. Purpose is meaning.
目的とは意味のことです。
Today's idea explains why nothing you see means anything.
今日の考えは、なぜあなたの目にするものが何も意味しないのか、そのわけを説明するものです。
You do not know what it is for.
あなたは、自分の目にするものが何のためにあるのか、わかっていません
Therefore, it is meaningless to you.
それゆえに、それはあなたにとって意味をなさないのです。
Everything is for your own best interests.
万物は、まさにあなたの最善の利益のためにあります。
That is what it is for; that is its purpose; that is what it means.
あなたの最善の利益のために万物があるのです。あなたの最善の利益に資することこそ、万物が存在する目的です。あなたが最善の利益を得ることに万物の意味があります。
It is in recognizing this that your goals become unified.
このことに気づくことによって、あなたのさまざまな目標がひとつに統合されます。
It is in recognizing this that what you see is given meaning.
このことを認識することで、あなたの見ているものに意味が与えられます。
2. You perceive the world and everything in it as meaningful in terms of ego goals.
あなたは、世界と世界の中にあるすべてのものについて、エゴの目標という観点から意味を見出しています。
These goals have nothing to do with your own best interests, because the ego is not you.
このエゴの目標は、あなたの最善の利益とはまったく無関係です。なぜなら、エゴはあなたではないからです。
This false identification makes you incapable of understanding what anything is for.
自分がエゴだと間違って同一化しているせいで、あなたは物事が何のためにあるのか理解できなくなっています。
As a result, you are bound to misuse it.
その結果、あなたは何であれ、物事を誤用する羽目に陥っているのです。
When you believe this, you will try to withdraw the goals you have assigned to the world, instead of attempting to reinforce them.
あなたがこのことを信じるなら、あなたは自分が世界に割り当てた目標を補強しようとする代わりに、そんな目標を掲げるのを取りやめようとするはずです。
3. Another way of describing the goals you now perceive is to say that they are all concerned with "personal" interests.
あなたが今知覚している目標を違ったふうに描写するなら、それらはすべて「個人的な」利益を求めるものだと言えます。
Since you have no personal interests, your goals are really concerned with nothing.
しかし、あなたには個人的な利益など一切ないので、個人的利益を求めるあなたの目標は、実は無を求めていることになります。
In cherishing them, therefore, you have no goals at all.
したがって、無を大切にすることによって、あなたはまったく何の目標も持っていないことになります。
And thus you do not know what anything is for.
こうしてあなたは、物事が何のためにあるのかわからなくなります。
4. Before you can make any sense out of the exercises for today, one more thought is necessary.
今日の実習についてあなたが少しでも意味を見出せるようになるためには、その前に、もうひとつ考えてみることが必要です。
At the most superficial levels, you do recognize purpose.
最も表面的なレベルにおいては、あなたは確かに目的を認識しています。
Yet purpose cannot be understood at these levels.
しかし、この表面的なレベルでは、目的を理解することはできません。
For example, you do understand that a telephone is for the purpose of talking to someone who is not physically in your immediate vicinity.
たとえば、あなたはたしかに、電話というものが、物理的にあなたのすぐ近くにいない誰かと話をすることを目的としていると理解してはいます。
What you do not understand is what you want to reach him for.
しかし、あなたがわかっていないのは、自分は何のためにその人と連絡を取りたいのかということです。
And it is this that makes your contact with him meaningful or not.
そして、あなたがその人と連絡を取ることを意味のあるものにするか無意味なものにするかを決めるのは、何のためにその人に連絡を取るのかということにほかなりません。
5. It is crucial to your learning to be willing to give up the goals you have established for everything.
あなたが学ぶためにきわめて重要なことは、あなたがすべての物事について設定してきた目標を喜んで手放す気になることです。
The recognition that they are meaningless, rather than "good" or "bad," is the only way to accomplish this.
それらの目標が「良い」とか「悪い」というよりも、無意味であると認めることが、これに成功する唯一の方法です。
The idea for today is a step in this direction.
今日の考えは、この方向に進む一歩です。
6. Six practice periods, each of two-minutes duration, are required.
6回の実習をしてください。1回あたり、2分間は続けることが必要です。
Each practice period should begin with a slow repetition of the idea for today, followed by looking about you and letting your glance rest on whatever happens to catch your eye, near or far, "important" or "unimportant," "human" or "nonhuman."
それぞれの実習時間は、「私には、物事が何のためにあるのかわからない」と、今日の考えをゆっくりと繰り返すことから始めてください。それから、自分の周囲を見回し、近くであろうと遠くであろうと、「重要」であろうと「取るに足らないもの」であろうと、「人」であろうと「人でないもの」であろうと、あなたの視線を偶然捉えたものであれば何にでも目を留めてください。
With your eyes resting on each subject you so select, say, for example:
それぞれの対象物に目を留めたまま、たとえば、次のように言ってください。
I do not know what this chair is for.
私は、この椅子が何のためにあるのかわからない。
I do not know what this pencil is for.
私は、この鉛筆が何のためにあるのかわからない。
I do not know what this hand is for.
私は、この手が何のためにあるのかわからない。
Say this quite slowly, without shifting your eyes from the subject until you have completed the statement about it.
努めてゆっくりとこのように言って、自分がその対象物についての言葉を言い終えるまでは、あなたの目をその対象物から移さないようにしてください。
Then move on to the next subject, and apply today's idea as before.
それから、次の対象物へと移ってください。そして、前と同じように今日の考えをあてはめてください。


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